文春オンライン
文春野球コラム

困ったときにはソトがいる…日本で成功するためにロペスの教えを守った男の魅力

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/10/03
note

「勝者と敗者の間には1センチの差しかない」

 かつて埼玉西武ライオンズに在籍したクリス・カーター氏の名言。

 バットとボールの当たる場所が1センチ変わるだけでホームランにもなるし、凡打にもなる。

ADVERTISEMENT

 地面ギリギリに差し出したグローブの位置が1センチ変わるだけでアウトにもなるし、ヒットにもなる。

 チャンピオンはその1センチを支配する――。今日はチャンピオンのように戦おう。

 ベイスターズの応援コラムなのに、いきなりライオンズの話から始めてしまってすみません。

 ただ久しぶりの痺れる熱い終盤戦を目の当たりにして、この言葉を思い出さずにはいられなかったんです。

 初めまして。今回の文春野球コラムを担当させていただく岡田恵と申します。今年の初めまでベイスターズの中で取材やSNS企画などを担当していました。もう離れてしまったので直接の取材はできないですが、今まで取材してきたエピソードを少しだけ書かせていただきます。

 8月の快進撃。ベイスターズはことごとく「1センチ」を支配してきた。

 去年なら外野に抜けていた打球も、グラウンドに落ちていた打球も、かすらなかった軌道も、届く、届く、届く。

 なんとなく打ち勝ってきた今までの戦いかたと何かが違う。強いのだ。

キャンプで石井琢朗コーチが若手選手に伝えた「1.01の法則」

 2月のキャンプで全体練習後の素振りの時間に石井琢朗コーチが若手選手に説いたのは「1.01の法則」。

 今の自分を1として、毎日0.01だけ積み上げると、365日で1.01の365乗≒37.8倍の自分になれる。逆に毎日少しずつ怠けて-0.01を失うと、0.99の365乗≒0.03倍になってしまうーー。

「積み重ねが大きな差になる。練習のための練習を積み重ねるな」

 その言葉を実践するように、ベイスターズはシーズン中に成長の足跡を見せてくれた。

 去年と同じかと思わせたシーズン序盤から中盤・終盤にグンとギアを上げた。

 どんなに点差が開いても絶対に手を抜かない牧秀悟。

 好反応ですっかり頼もしいファーストになったソト。

 いつの間にか前後左右の打球に追いつくようになっていた佐野恵太。

 長年染み付いていた「打てれば(守れなくても)良い」みたいな雰囲気がなくなった。

 主力・ベテランのそんな姿を見たら若手だって必死になる。

 シーズン中盤以降、今までだったら落としていた試合でコツコツと勝利を積み重ねた。

 過酷な9月の連戦を戦い抜き、さぁクライマックスシリーズ・ファーストステージまであと1週間。

 3位にどこの球団が来ても、首位との対戦成績が9勝15敗でも、有利とか不利とか言ってられない。負けたら終わりのCS決戦でベイスターズが勝ち抜くためにはーー。

文春野球学校開講!