精力的な稽古で目を惹いたのは…
お盆明けから出稽古で精力的に稽古をしていたのが、高安です。立浪部屋に始まり、荒汐部屋、伊勢ヶ濱部屋へと稽古相手を求めて、部屋を渡り歩いていました。
伊勢ヶ濱部屋にも、2日間稽古に来ました。錦富士、翠富士、熱海富士を相手に激しい申し合いを行い、横綱照ノ富士と力を出し合った、本場所さながらの激しい稽古をしていました。さらには横綱の胸を借り、ぶつかり稽古も限界まで力を出していました。
年齢を重ね、番付が上にいくと、ぶつかり稽古や地味にきつい基本の稽古量は年々減っていくのですが、高安がぶつかり稽古で泥にまみれ、必死に鍛えている姿に私は感動を覚えました。
伊勢ヶ濱部屋の様子も少しだけお伝えしましょう。
横綱照ノ富士は、巡業でも土俵に上がり若手と稽古し、部屋に帰ってきてからもトレーニングと基礎運動を中心に、体の調子と相談しながら調整していました。
先場所新入幕で敢闘賞を受賞した錦富士は、体も大きくなり、稽古の番数も毎日50番を超えていました。相撲を取るときだけではなく、常に体を動かし汗をかいていました。稽古内容も力強くなり、今場所も活躍できるのではと思っていました。
前頭筆頭に躍進した翠富士は、初の上位挑戦になります。体も少し大きくなり今場所の面白い存在になると注目していました。
十両の熱海富士は幕内を目指し、いつもよりさらに稽古を積み重ねていました。今場所20歳になり、初めての場所で新入幕を掴みとってくれると期待していました。
さあ、どんなドラマが繰り広げられたのか。それでは参りましょう。
初日の相撲を見て感じた注目力士たち
初日横綱照ノ富士は、小結霧馬山との対戦です。霧馬山にまわしを取られ頭をつけられる苦しい展開でしたが、じっくり照ノ富士は我慢していました。霧馬山が我慢しきれず両差しになったところを外側から抱えこむ展開になりました。この形になると照ノ富士としては、一安心です。そこからは落ち着いて寄り切りました。霧馬山としてはもう少し照ノ富士が慌ててくれると勝機を見出せるのですが、なかなかそうはさせてくれません。
カド番の大関御嶽海は翠富士との対戦です。初日の相手として小兵の翠富士はやりやすい相手ではないと思いますが、全く問題にしませんでした。この初日を見る限り、カド番脱出は何も問題ないと思いましたが、まさかあんなことになるとは……。
大関貴景勝は先場所優勝の逸ノ城との対戦です。貴景勝としては合い口が悪いのでしょう、頭で当たりますが押し返されてしまいます。
合い口?と思う人もいると思いますが、こればかりは何故そうなるのかわかりません。科学で証明できるのでしょうか。私も稽古では問題にしないのに、本場所では何をしても勝てないことがあるのですよ。
もう一人の大関正代は動き回る翔猿を相手に、終始攻めて押し出し。
今場所の正代は何も問題ないと思いましたが、まさかあんなことになるとは……。
初日の相撲を見て、好調と感じたのは関脇若隆景相手にスケールの大きい相撲を取った琴ノ若、関脇豊昇龍を動き良く押し倒したベテラン玉鷲、力をつけてきた若元春は余裕を感じる打っちゃりで白星発進です。
照ノ富士を中心に進んでいくのかと思いましたが、2日目に翔猿に動き回られて捕まえきれずに負けてしまいます。その後も5日目に玉鷲、6日目に宇良、9日目に高安に負けてしまい、休場となりました。
場所に入って照ノ富士から膝が痛いということは聞いていましたが、横綱として土俵に立つ事を務めとし、痛みを耐え忍んでいたように見受けられました。
大相撲ファンの皆さんは是非、土俵に戻ってくるまでの少しの間、待っていて下さい。
さて、優勝の行方はどうなっていったか見てみましょう。