――その後、アイドルになるという夢は?
えみっくす 大学4年の後半頃からAKB48の勢いがすごくなって、「こういうふうになりたかったな」ってドハマりしました。北海道から何度も東京遠征、総選挙の時はCDを50枚、100枚と買っていましたね。
大学を卒業したら、働かずにいるのはマズいかなあと。その頃バイトをしていたコールセンターのシステム担当として契約社員で雇ってもらった後、IT企業にSEの正社員として就職しました。
その次は友人経由で、東京のIT企業から声をかけていただいて。もっと握手会に行きたいし、お給料も上がるし、即決でした。東京に行ったら、夢を諦めて停滞した人生も何か変わるんじゃないかという期待もあって。
――東京生活はいかがでしたか。
えみっくす 東京に来たものの、最初は仕事についていけずに残業して、夜遅くにラーメンを食べちゃう毎日。その頃の体重は80キロぐらいかなあ。
――仕事を辞めたきっかけは?
えみっくす なんだかんだ楽しく働いてはいたんですけど、裏腹に、自分の実力が伴わないという気持ちが消えなかったし、会社の事情も重なって。7年ぐらい働いて、ある時「もう無理!」って限界が来て、辞めました。
生活を立て直そうと思っていたところへ、私のTwitterを見たという「17LIVE」(通称「イチナナ」。台湾発のライブ配信アプリで、日本では2017年にサービス開始)さんから声をかけてもらったんです。
「デブがバレる」のが怖かった
――会社を辞めた後、「人前で何か表現する」という夢をもう一度追いかけようとは思っていたんですか?
えみっくす 全然思ってませんでした。SNSでの発信だけは続けていましたが、人前に出るようなことはしないで、この先生きていくんだろうなと。
――それでも、配信の世界に飛び込んだ。
えみっくす まだイチナナもサービスを始めたばかりで、興味があって。でもメイド喫茶と同じで、人気はさっぱり……。底辺ライバーなりに24時間配信をしたこともありますが、生活はギリギリ。潤沢に稼げるほどでもなかったです。
――配信では、“素”をさらけ出して?
えみっくす 最初は全然! “小顔効果”の設定を100%使って、一生懸命デブを隠していました。でもある日、バグで小顔効果が使えなくなるトラブルが起きたんです。ただその日はイベントの最終日で、配信を休めない。初めて効果なしで配信しました。見ていた人はさぞびっくりしたと思います(笑)。
――ありのままの自分を見せるのは怖くなかったですか?
えみっくす めちゃくちゃ怖かったです。デブがバレたら、誰も視聴しなくなっちゃうんじゃないかって。けど、逆にそっちの方が個性があって、本当の自分という感じがするし、人間味があっておもしろいよって言ってもらえたんです。
――バグがターニングポイントに。