新聞やタブロイド紙が生き残りに懸ける心意気
一方で産経の「発案」に理解を示したい自分もいる。最近の新聞社は経営が厳しいと聞くので、食い扶持探しに余念がないのだろうと察するのです。
皆さんは「東スポ餃子」をご存知でしょうか。あの東スポが、餃子の販売を始めたのです。
《コロナ禍で閉塞感漂う飲食店を救うため、東京スポーツが餃子をプロデュースしました。その中身は高級な青森県産ニンニクをドカンと通常の3倍も入れた“ニンニクマシマシ餃子”。》(東スポHPより)
新聞社がなぜ餃子を売るのか? と思う人もいるだろう。しかし大手新聞社やテレビ局では不動産業をやっている社もある。だったら新聞社が餃子を売ってもよいではないか、東スポだって副業で稼いでもよいではないか? と個人的には思います。(※実際に食べましたがかなり本格的でした)
東スポ餃子に刺激を受けたのか、最近では夕刊フジが「小籠包」を売り出し始めた。なんで中華料理に、それも飲茶に寄せてくるんだという疑問はぬぐえませんが、新聞やタブロイド紙が生き残りに懸ける心意気は応援したいと思っていました。
クラウドファンディングは第三者が起案者になるのが望ましい
ただ、どうしても今回の産経のやり方には違和感が残るのです。そもそもクラファンて、自分の頑張りだけではどうにもならない(主に金銭的な)困難があるからおこなうのでは。産経の場合、そういった障害はどこにもないはず。安倍氏への追悼の意思を持つ一般の方からお金を集め、本来いらないはずの広告費を設定し、それを集めて記事と広告をつくる。メディアの「自作自演」の葬儀ビジネスに見えて仕方ないのです。これがモヤモヤの正体ではないでしょうか。
というわけで専門家に聞いてみました。日本のクラウドファンディングの第一人者と目されている板越ジョージ氏は、
《今回の問題は起案者とプラットフォーマーが同じであるという点にある。ただ、安倍元首相の追悼記事をクラウドファンディングで企画することは保守系である産経新聞ならではのプロジェクトなので、最初は好意的な印象だった。決して大きいとは言えない産経新聞のプラットフォームが生き残るには自社のカラーを活かすしかないからだ。とはいえ、資金を募る者、プラットフォーマー、資金を受け取る者がすべて同一人物という構造は、やはり手前味噌すぎる印象は否めない。安倍元首相を悼む気持ちを利用して資金集めしたように見えてしまっても仕方がないだろう。自分なら、誰か保守系のアイコン的人物、たとえば櫻井よしこ氏や百田尚樹氏などを起案者にするように助言した》
と、言っており、やはり第三者が起案者になるのが望ましいとのことでした。