本日は安倍晋三元首相の国葬がおこなわれました。この日を迎えるまでにおこなわれた各社世論調査では、回を重ねるごとに国葬に反対の声が増えました。滞りなく国葬が終わった今も論議が激しいですが、当コラムでは今回「安倍国葬・生き残りをかける新聞社」という視点で考えてみます。

クラウドファンディングで計4000万円が集まる結果に

 今日付けの産経新聞に大々的に載った安倍氏の追悼記事・広告をご覧になった方も多いと思います。最初にこの記事・広告が話題になったのは、実は紙面に載るよりもはるか前の8月のことでした。

国葬に合わせて掲載された産経新聞の特別紙面(2022/9/27付け)
安倍晋三元首相 ©文藝春秋

 追悼 安倍晋三元首相 ~国葬にあたり、広く社会で弔意を~ クラウドファンディングサイトで【特別紙面賛同者募集】

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《9月27日の国葬当日に、安倍氏の功績を伝える特集とともに、ご賛同いただいた方々のお名前を掲載する特別紙面を制作します》

 追悼紙面を制作するにあたり、広く賛同者を募っていたのです。ここで一番注目すべきは「クラウドファンディング」という手法です。

 この広告費を賄うために、自社が運営するクラウドファンディングサイトで「個人1口5000円」で寄付を募りました。すると予想より多くの賛同者があらわれ、最終的に目標額500万円の8倍にものぼる計4000万円ものお金が集まりました。クラファンは大成功! となったのです。

無償で紙面提供はできないのか

 しかしどうしても気になることがあります。産経への寄付を呼びかけているのが産経新聞社「本人」であることです。クラウドファンディングや意見広告といえば、誰か別の個人が有志を募り、集まったお金で産経に広告を出す。これが一般的な方法ではなかったでしょうか? ワシントンポストとかニューヨークタイムズに日本の従軍慰安婦に関する意見広告を出す団体等はこういうやり方だったはず。

 言ってみれば、今回は広告を載せるためにその広告を載せる媒体そのものが「胴元」になってお金を集めている。これは違和感ありすぎです。だったら無償で紙面提供はできないのでしょうか? しかも紙面に名前が載っても当日の新聞は自ら購入する必要がある。これでは単に産経新聞社が寄付ビジネスで4000万円丸儲けしただけでは? と思えてしまうのです(紙面では収益の一部を「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」に寄付すると言っています)。このような疑問や指摘は当初からネット上でも出ていました。