文春オンライン

2022/10/01

genre : ライフ, 社会

 一般に、バッテリー上がりなど利用者の責任によらないトラブルによって車両を運行できなくなった場合には、事業者側の負担でレッカー代などを賄うことが約款で定められている。しかし、「駐車中ライトを点けっぱなしにしてしまった」など利用者側の使用方法に原因がある場合には、移動や修理に要する費用を利用者が負担することになる。

 ここでの問題は、利用者側が「自身に原因のないこと」を証明することが困難な点だ。もともとバッテリーが弱っており、自身が使っている間に寿命を迎えたのだとしても、「ライトを点けっぱなしにした」ケースと同様に扱われる可能性は否定できない。

 なお、カーシェア事業者の多くは、パンクやバッテリー上がりといった車両トラブルを補償するプランを用意しているので、利用する際には加入しておくとよいだろう。しかしもちろん、あらゆる故障をカバーしているわけではないし、約款への違反や不作為があった場合には適用対象とされないケースも考えられる。

約款に定められる利用者の「点検義務」

 上の「約款への不作為」という点で気になるのが、多くの約款に定められる「日常点検」の義務である。車両を利用するにあたり、利用者は道路運送車両法における日常点検を実施する義務を負うとされ、異常を発見した場合にはただちに事業者に報告しなければならないのだ。

 日常点検として定められる内容は15項目にわたり、「エンジンオイルの量」や「エンジンのかかり具合・異音」の確認もこれに該当する。もちろん、車両の点検はドライバーの義務であるけれども、車を所有していないことも多いカーシェア利用者が15項目をくまなく点検するというのはあまり現実的ではない。

 もちろん、カーシェアの車両は定期的に点検されているし、「借りている間に勝手に壊れる」というケースはごく稀だろう。とはいえ「前の利用者が使ったまま」であることも多いカーシェアにおいては、想定外のトラブルが生じる可能性を十分考慮しておくことが求められる。

「普通に使っていれば大丈夫」とは考えず、乗車前から「何かあるかもしれない」と構えておくことが、トラブル予防のうえでは欠かせない。

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー