近年コインパーキングなどを中心に広まる「無店舗型」のカーシェアサービスは、通常のレンタカーに比べ、立地の面で融通がききやすく、発着時の手続きも簡便であることが特徴だ。

 しかし車両を管理するスタッフが常駐していないことから、「休憩スペース」や「不倫現場」など、想定外の用途に使われることもあるようだ。

 そうでなくとも、駐車場にぽつんと置かれたカーシェア車両を見て、「管理状態は大丈夫なのか」と疑問に思う人は少なくないだろう。ここでは利用者の立場から、カーシェアをめぐる思わぬトラブルについて紹介する。

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直前の予約取り消し、予定は台無し

 SNS上で散見されるカーシェアのトラブルとして、「直前に予約を取り消される」というパターンが挙げられる。同様の目に遭ったというEさんに話を聞いた。

「予約時間に貸出ステーションに行ったら、車のドアがベッコリ凹んでいました。連絡すると、車両状態を確認するので当該車両の貸出はできないと言われ、別のステーションにある空き車両を案内されました。かなり離れた場所だったので、予約を取り消し、結局タクシーで移動することにしたんです。色々車で回る予定でしたが、その半分も消化できませんでした」

 車庫に複数の在庫を抱えるレンタカーの店舗であれば、1台にトラブルが起きた場合にも配車の都合をつけやすい。しかし、カーシェアでは「ステーションに1台」のみの場合も多く、トラブルが起きた際には予約が「なかったこと」になってしまうわけである。

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「忘れ物」の思わぬ代償

 カーシェアを利用する際、気をつけたいのが忘れ物である。店舗型のレンタカーであれば、スタッフが回収することも容易だが、無店舗型の場合はそうはいかない。これにより、思わぬ出費を余儀なくされたのがFさんである。

「旅行先で車を借りたのですが、返却して飛行機に乗ってからETCカードを車内に忘れてきたことに気づいたんです。運営会社に連絡したところ、車両の確認のために貸出を停止しなければならないとのことで、休業補償として2万円と、送料が必要になると言われました。取りに戻るわけにもいかず、回収をお願いしましたが……むしろETCカードを再発行してしまった方が安かったのかな、と後から思い至りました」