小学5年生のときに、男性家庭教師から性加害を受けた後藤慶士さん(38)。幼少期におぞましい被害にあった後藤さんは、男性への嫌悪感を強め、人間関係の構築に苦労したこともあったという。

 現在は会社を立ち上げ、SMマッチングサイト「Luna」を運営し、性にコンプレックスを抱えた人たちの“居場所づくり”を行っている。

 後藤さんはどんな環境下で被害に遭い、どのような“後遺症”に苦しめられたのか。話を聞いた。(全2回の2回目/1回目から続く)

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後藤慶士さん ©細田忠/文藝春秋

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男性の肌に触れるのが気持ち悪いと思うように…

――小5のときに男性の家庭教師から性加害を受けた影響で、男性に対して強烈な嫌悪感を抱くようになったそうですね。

後藤慶士さん(以下、後藤) 中学生になってから、男性の肌に触れるのが気持ち悪いと思うようになって、直接触れなくなりました。

 当時サッカー部だったんですけど、みんなで円陣を組むこともできなかったんです。服の上から触るのであれば、少しは我慢できたんですけど。

――運動部だと肌が触れるシーンが多い気がします。

後藤 部活は大変でしたね。僕はキーパーで、あまり体の接触がなかったので、基本的にボールにしか触れないようにしていました。

 部活以外でいうと、運動会もきつかったです。騎馬戦ってあるじゃないですか。当時僕は背が小さかったので、上に乗る方だったんですけど、男子に足を持たれたり、触られるのが嫌でした。ちょっと汗に触れる、みたいなのもきつくて。とにかくつらかったですね。

膝の上に乗せられて勉強を教えられる後藤さん。約1年以上にわたり、男性家庭教師からの性加害を受けたという(写真=後藤慶士さん提供)

――男性恐怖症みたいな感じになっていた?

後藤 恐怖というより、嫌悪感ですかね。誰にも言えなかったけど、男子中学生独特の絡みみたいなのも苦手でした。友達同士でふざけてじゃれ合うみたいな。

 僕はそれができなかったから、友達との関係性を築きにくかったです。どこかのグループに属して仲良くすることも、みんなで遊びに行くこともできなくて、「なんかあいつノリ悪いよな」ってなってしまって。中学生の頃は、人間関係に苦労しましたね。

――女性に対しても同じような感覚はありました?

後藤 女性に触れられたり触れたりするのは大丈夫でした。中学1年生の頃には彼女ができて、高校時代の彼女とは性的な行為をするようにもなりました。

 高校2年生ぐらいから、そういう行為や男性への嫌悪感が徐々に緩和されていった気がします。でも性加害がきっかけで「こじらせた」のは間違いないと思います。

――何を「こじらせた」のでしょうか。