「男なんだから我慢して当然という風潮が…」男性の性被害が理解されにくかったワケ

――SNSでも公表されていますが、周りからはどういった反応がありましたか。

後藤 noteに自己紹介として性被害の内容を書いていたんですけど、それを読んだ方からは「そんな被害があったとは」「大変な思いをされてたんですね」と寄り添ってくれる反応がたくさんありました。

 誹謗中傷やセカンドレイプ的な反応はなくて、同情してくださる方が圧倒的に多かったです。ただ、男性の性被害は理解されにくいとは感じています。

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――それはつまり?

後藤 男性の性被害に関しては、「男なんだから我慢して当然でしょう」みたいな、日本社会独特の風潮がある気がしています。あくまで僕自身の話なんですけど、特に同じ男性側からそういう固定概念の押しつけを感じるというか……。それによる言いづらさはありますよね。

 あとは、女性の性被害のほうが圧倒的に件数が多いため、社会問題として大きく扱われやすかったと思うんです。でも、旧ジャニーズ事務所の性加害問題がきっかけで、男性も性被害について話しやすい環境にはなってきてるのかなと感じています。

――旧ジャニーズ事務所の性加害問題は、どのように捉えていましたか?

後藤 報道をきっかけに、男性の性被害が社会的にちゃんと取り上げられるようになって、被害者が打ち明けやすい空気感が作られてきていると思います。20~30年前は、まったくそんな空気じゃなかったと思うので。

 実際に僕も、隠すべきことだと思っていましたし。なんの圧力もなかったけど、人に言えない空気感みたいなものは感じていました。

 

日本社会の性教育や性犯罪の現状に思うこと

――日本の性犯罪や性加害問題などの現状については、どのように感じていますか?

後藤 社会全体が「性=触れちゃいけないもの」として扱っていることが問題だと思います。それが結果的に、犯罪にもつながっているんじゃないかなと。人間は欲求を抑えつけられると爆発するものなので、タブー視すればするほどよくない行為が生まれる気がします。

 あとは、性教育の問題もありますね。男性が女性の生理について知らなかったり、AVで間違った情報を得たりしている。つまり、性に関する正しい情報が伝わっていないんです。子どもの頃から性のありかたについてしっかり学んでいないから、何が犯罪なのかをきちんと理解できていない人がいるのだと思います。

 だからこそ、もっとオープンに性についてコミュニケーションできる環境が必要なんじゃないかな、と個人的には思っています。