小学5年生のときに、男性家庭教師から性加害を受けた後藤慶士さん(38)。幼少期におぞましい被害にあった後藤さんは、男性への嫌悪感を強め、人間関係の構築に苦労したこともあったという。
現在は会社を立ち上げ、SMマッチングサイト「Luna」を運営。性にコンプレックスを抱えた人たちの“居場所づくり”を行っている。
後藤さんはどんな環境下で被害に遭い、どのような“後遺症”に苦しめられたのか。話を聞いた。(全2回の1回目/2回目に続く)
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将来を期待され勉強漬けだった小学生時代
――後藤さんはどのようなご家庭で育ったのでしょうか。
後藤慶士さん(以下、後藤) 父親、母親、弟の4人家族です。母親が教育熱心な人で、幼稚園くらいから知育玩具で遊んでいました。世間一般で言う「教育ママ」だったと思います。
小学生の頃には、習い事を週に7~8個くらいしていました。水泳、そろばん、ピアノ、習字、サッカーなど……忙しい幼少期でしたね。塾も週に3回行ってましたから。
――遊ぶ暇もないほど忙しそうな小学生時代ですね。
後藤 中学受験を目指していたこともあって、小学生の頃はずっと勉強漬けで。小学5年生のときには、塾から切り替えて、家庭教師に勉強を教えてもらうようになりました。
母親が行かせようとしていた中学の名前からすると、高校、大学も偏差値の高い学校に行ってもらいたいと思ってたのかなって。当時は、将来を期待されていたのかもしれません。
――お父さんはどんな人でしたか。
後藤 父親は寡黙な昭和の男性という感じでした。子どもの教育は全部母親に任せていて、基本まったく関与してこない。
子どもの頃から、教育に関しては話すこともほとんどなかったですね。半年に1回喋るか喋らないかくらいで。いわゆる放置主義な父親でした。
膝の上に乗せられることから始まった性加害
――小学5年生から雇った家庭教師は、どんな人だったのですか?
後藤 教育系の大学に行っている23歳の青年です。誰かの紹介なのか、何かのプログラムで来たのかはちょっとわからないですけど、普通に愛想のいいお兄ちゃんという感じでした。
――最初の印象で違和感はなかった?
後藤 まったくなかったですし、むしろ好印象でした。勉強以外でも、僕や弟の面倒を見てくれて、遊んでくれたりもしたから、いい人だなって感じてました。
両親もずっと、彼にいい印象を持っていたと思います。まさか性加害をするような人だとは想像もできなかったです。
――家庭教師を雇ってから、どのくらいで性加害が始まったのでしょう。
後藤 数ヶ月くらい経ってからだったと思います。週3~4回くらい家に来ていて、いつも畳の部屋で勉強をしていたんですけど、最初は相手の膝の上に乗せられるところから始まりましたね。
普通の家庭教師って、隣に座って勉強を教える感じだと思うんですけど、彼は僕のことを膝の上に乗せながら勉強を教えてくれました。でも、弟もそういう感じで教えてもらっていたので、なんの違和感もなくて。
その後、だんだん行為がエスカレートして、相手からキスをされるようになりました。頬だけではなく、口にもされるようになって。