東京駅から東北新幹線「はやぶさ」に乗って約4時間。気がつけば仙台や盛岡どころか新青森も通り過ぎ、窓の外は漆黒の暗闇。「はやぶさ」の一部は、新青森駅からそのまま北海道新幹線に直通、津軽海峡を青函トンネルで駆け抜けて北海道に上陸する。その終着は、新函館北斗駅だ。
北海道新幹線が開業したのは2016年3月だから、もう今年で10年目。東京駅で「新函館北斗行き」の新幹線を見かけても、何も感じないくらいには定着している。
おなじみにはなったけど…
東京から函館まで。新幹線だと4時間以上、飛行機だと1時間半もかからない。わざわざ新幹線で行く人なんているもんか、などと言われることもあった。が、飛行機嫌いにとっては新幹線に乗っているだけで函館に着くのだから、これほどありがたいことはない。
が、この新函館北斗という駅は、名前からもわかるとおり函館駅とはまったく別のものだ。それどころか函館市内にすらなくて、新函館北斗駅は北斗市内にある。
南に函館湾に接し、港を中心に市街地を持つ函館の町。さらにその北へと広がる函館平野。新幹線は函館平野の真ん中を大きく弧を描きながら北上し、平野の北の端っこの終着駅が新函館北斗駅、というわけだ。
だから、観光や何やで新幹線に乗ってきた人は、新函館北斗駅から在来線の「はこだてライナー」に乗り継いで約20分、函館駅に向かわねばならない。
北海道新幹線“ナゾの終着駅”「新函館北斗」には何がある?
裏を返せば、新函館北斗駅そのものに用があるような人はめったにいないから、すぐに乗り換えてこの駅を去ることになる。
畢竟、この駅がどんな駅なのか、いったい何があるのかはほとんど知られることがないまま10年近くが経ってしまったのではなかろうか。そういうわけで、新函館北斗駅の周辺を少し歩いてみることにした。