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2年半たっても終息の兆しは見えず…「コロナウイルスを消すのは無理」と断言する京大ウイルス学者の“見解”

『コロナワクチン 失敗の本質』より #2

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「ものすごい行動制限をしても、なんの解決にもならない」

宮沢 たとえばヒトコロナウイルス(HCoV)229Eというコロナウイルスがあります。1966年に見つかった風邪を引き起こすウイルスで、もうほとんどの人が感染しています。でも、毎年毎年流行し、50年間ずっと繰り返し現れている。もうこの世から消すことはできないんです。

鳥集 2021年5月、東京都医師会の尾崎治夫会長は記者会見で、「東京オリンピックを開催するためには、1日の新規感染者数を100人以下にする必要がある」と言っていたんです。ゼロコロナに近い発想があったと思うんですが、そもそもそれを目標にすること自体が、ウイルスに対しての知識がなさすぎるということになりますよね。

宮沢 もし、ものすごい行動制限をしてうまくいったとしても、制限が解除されれば感染者数は上がっていきますから、なんの解決にもならないです。鎖国してゼロコロナを達成したとしても、最後はどうするんだろうとずっと思っていました。みんな、「台湾や中国はコロナを抑え込んですごい」と言っていましたが、最終的な出口はどこにコンセンサスを置いているんだろうと。

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写真はイメージです ©iStock.com

鳥集 もしコロナを封じ込めることができたとしても、国を開けばウイルスが入ってくるわけですから、ずっと鎖国状態を続けていくしかない。

宮沢 とりあえず国を2~3年閉めて、弱毒化したら開くという考えもあるし、ワクチンで逃げるという手もあるんですが。前者はあったとしても、後者はできないだろうと。しかし、多くの野党議員が「台湾はすごい」と言ったわけです。

 いやいや、出口戦略はどうするのと私は思っていたんですが、今(2022年5月)、現実に上海がどうなっていますか。あれを見ると、中国がどういう出口戦略を持っているのか、わからないです。

鳥集 中国は感染した人たちを捕まえて、閉じ込めるということをずっとやっていますね。ニュースを見ると、閉じ込められたストレスで泣き叫んでいる人もいました(上海では6月1日からロックダウン政策を実質的に解除した)。