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2年半たっても終息の兆しは見えず…「コロナウイルスを消すのは無理」と断言する京大ウイルス学者の“見解”

『コロナワクチン 失敗の本質』より #2

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リスクが高い急性感染症を起こすウイルスはまず大流行しない

宮沢 世界中で新型コロナウイルスは蔓延しているわけですから消すことなどできない。もしかしたら、だんだん消えていくかもしれないですよ。しかし、当面消えないでしょう。実は、消せないことは2020年3月には予測できました。ダイヤモンド・プリンセス号や武漢から帰ってきた人の陽性率、発症率を調べたら予想以上に低くて、「あ、これは消すのは無理だ」と、すぐにわかったんです。

 ウイルスには、消せるウイルスと消せないウイルスがあるんです。たとえば、感染して2日で発症して、死亡率が高いものの、治ると完全に体から消えるウイルスだったら消せる可能性はある。

 でも、今まで人類が撲滅することができたウイルスは天然痘ウイルスと牛疫ウイルス(ウシのウイルス。ヒトの麻疹ウイルスと近縁)だけです。いくら頑張ってもコロナウイルスを消すことは不可能に近い。しかし、コロナウイルスは発症率が低いし持続感染してしまうから、もう消すのは無理です。だから、ドーンと受け止めるしかないんです。

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鳥集 不幸中の幸いで、当初に思われたほどリスクの高いウイルスではないことが早い段階でわかりましたよね。

宮沢 何度も言っているんですが、急性でリスクがすごく高いウイルス、つまり急性の病原性が高いウイルスは流行らないんですよ。

鳥集 宿主(ウイルスが感染する対象)が死んでしまうと、ウイルス自身も他に感染できず消滅してしまうから。

宮沢 病原性の高いウイルスでも、家畜であるニワトリやブタだと流行ってしまうときがあるんです。たとえば鶏舎に高病原性鳥インフルエンザがカラスや他の野鳥から入る。そうするとバーッと流行してしまう。それは密飼いしているからなんです。

 でも、人間の場合はそういうことは起こらない。エボラ出血熱だって、たしかに人を殺しますが、エボラが先進国でパンデミックになるとは私には思えない。致死率が非常に高いから。それに、エボラには実は低病原性のものもあるんです。 

鳥集 そうなんですか。

宮沢 アジア型のレストンエボラウイルスというウイルスがあって、感染するとヒト以外の霊長類(サル)は発症しますが、ヒトには病原性を示さない。今、エボラはアフリカで発症率も致死率も高いですが、おそらくだんだん馴染んでいくと思います。そして広がるとしたら、病原性はなくなって広がるんだろうと思います。つまり、アジア型のようになっていく。

『コロナワクチン 失敗の本質』(宝島社新書)

 アフリカ型のエボラ出血熱はコウモリなどの野生生物から来たのではないかと言われていますが、人間とは相性が悪いまま、出てきては消え、消えては出るを繰り返している。もしかしたら、いずれ人間に馴染んで定着していくかもしれません。

コロナワクチン 失敗の本質 (宝島社新書)

コロナワクチン 失敗の本質 (宝島社新書)

宮沢 孝幸 ,鳥集 徹

宝島社

2022年8月10日 発売

2年半たっても終息の兆しは見えず…「コロナウイルスを消すのは無理」と断言する京大ウイルス学者の“見解”

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