今季限りでユニホームを脱ぐ中日の福留孝介外野手(45)が9月23日に引退セレモニーを終えた。来季はPL学園高の先輩でもある立浪和義監督(53)をコーチとして支えるとの観測も浮上した中、同8日に引退表明した直後からマネジメント業務を委託する吉本興業を通じ、来季は評論活動を行うことで放送局と調整に入っている。福留と立浪監督をよく知るチーム関係者は「中日に来季も上がり目は見当たらない。孝介は泥船には乗らないということだろう」と2人の微妙な関係を指摘する。

引退セレモニーで胴上げされる福留孝介 ©時事通信

引退へと外堀を埋めていった

 立浪監督が就任した今季、福留は代打の切り札に期待されながらも開幕から不振に陥った。23打数1安打で交流戦を終えると、2軍落ち。その後1軍昇格はなかった。

「監督は土田(龍空)ら来季に向けて早々と若手に切り替えた。孝介の1軍昇格の機運は高まらなかった。あえてそうしたようにも見えた。球団に対して孝介を来季の戦力として残すよう働きかけた形跡もない。引退へと外堀を埋めていったのではないか」(前出のチーム関係者)

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 福留は自らが置かれた状況を察知したのか、9月初めに球団に引退の意向を伝えた。

「孝介は2軍でも試合に出ていた。来年やるのかなとも思った。自分からはやめないと思っていたので、驚きもあった。ただ、よく考えると、監督にしてみれば1軍で全く打てていなかったバッターを、本来なら交流戦前に(2軍に)落とすところを、交流戦後までは我慢した。これがPLの先輩としてできる最大限の特別扱いだった。裏を返せば、交流戦で結果を出さない限り、引退しかないというメッセージだったのではないか」(同前)

 福留は9月24日付の中日スポーツに寄せた手記でこう綴っている。

〈(8日の)会見の数日前にバンテリンドームナゴヤで監督に引退を報告した。もう決めたから、監督室に入って「ありがとうございました」と。それだけ伝えました〉