通算安打数は立浪の2480に対し、福留は2450。二塁打に限ると、立浪がNPB最多記録の487。福留は409。しかし、MLBとの合算では519で立浪を上回る。福留の「(立浪が)最初から最後まで憧れだった」という言葉は本音だとしても選手としては引けを取っておらず、むしろメジャーのほか五輪やワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での実績が立浪にはないだけに、ある意味超えたとの自負もあるに違いない。
星野監督が認めた「監督の資質」
そのメンタルの強さゆえ、福留はかねて中日の星野仙一監督から監督の資質を認められていた。セオリーではあり得ない球種を待ち、それが来ないと平然と見逃し三振し、周囲に「ぞっとする」と言わしめる駆け引きにもたけている。ベテランとして加入した阪神、晩年を過ごした中日では若手を積極的に指導した。中日では早くも次期監督の呼び声が高い。
立浪監督は24年までの3年契約を結ぶ。
「ミスタードラゴンズの待望の監督就任で、よほどのことがない限り、任期は全うするだろう。ただし、25年以降は成績次第。去就問題になれば、孝介は有力候補に挙がってくる。中日フロントとは、加藤(宏幸)代表と良好な関係でもある」(同前)
福留が現体制でコーチになると、不振なら立浪監督と連帯責任になる。同チーム関係者によると、何より、同監督の独裁色が濃くなっており、コーチが仕事をしづらい現状があるという。
「孝介はこうしたことを見越し、一旦チームを離れた方が得策と判断したと思う」とグラウンド外での勝負勘の鋭さにも前出のチーム関係者は感心する。その上で「監督になれば、それこそ山崎や憲伸(川上)らをコーチで招聘する構想もあるはず。(同学年の盟友)荒木(雅博)は今(内野守備走塁)コーチで、チームの現状は常に情報が入る状態。いつでも監督の就任要請に応える準備は整っている」と外部からじっくりと“時”を待つとの見立てを披露した。
福留は06年のWBC、韓国との準決勝では代打で先制2ランを放つなど、現役時代は抜群の勝負強さを誇った。PL学園高の先輩、宮本慎也(元ヤクルト)をして「場を壊す打撃」と言わしめた。その打撃とは対照的に、「ポスト立浪」に向けては場の空気を読んでいるようだ。