tbcの略称で親しまれているTBS系列の東北放送。同社で過酷な労働環境などを理由として退職が相次ぎ、約半年で6人ものアナウンサーが辞めていることが、「週刊文春」の取材でわかった。
東北放送関係者が言う。
「社員数は約160人で筆頭株主は地元の河北新報社。同族経営で河北新報の一力雅彦社長とtbcの一力敦彦社長は兄弟です。今年2月には新社屋がグランドオープンしています」
約3割のアナが退職するという“異常事態”
その東北放送で大問題が発生している。今年3月から8月までで計5人のアナウンサーが退職。9月末にも1人が辞め、半年間で6名ものアナウンサーが退職することになるのだ。
「県外出身の女子アナだけではなく、楽天の野球中継を担当していた男性アナ3人も含まれています」(同前)
19人のうち6人、約3割が退職するという“異常事態”。一体、なぜそんなに辞めるのか。別の東北放送社員が言う。
「とにかく忙しい。tbcはテレビだけでなく、ラジオも同じメンバーで作っているため、他局より仕事量が多い。泊まり勤務もありますが、その前後にロケ・野球中継が入ることもある。移動が続き、食事の時間がないことも。旧社屋時代は仮眠室が老朽化しており、泊まり勤務をして体調を崩した人もいた」(同前)
退職者が出るのは今年だけではない。18年から21年までで7人が退職し、さらに定年で2人が辞めている。人が減り、仕事量が増え、さらに人が減る負のスパイラルが続いているのだ。
「アナウンサー不足を含む人材の適切な配置は、長年、組合の議題に挙がっていた懸案事項でした。ただ、地方局の経営は厳しく、人件費も削減せざるを得ない。賞与が減ることもあり、それをボヤく人もいる。中途採用を募集することも無く、昨年、出演していたフリーアナの数も減らした。あまりに人が減りすぎて、辞めたアナウンサーに中継を手伝って貰って何とかしている状況です」(前出・関係者)
この危機的状況を東北放送社長はどう捉えているのか。一力敦彦社長に聞いた。