文春オンライン

2022/10/04

酷評されたモハメド・アリ戦だったが…

 異種格闘技戦の白眉は、ボクシング世界ヘビー級王者モハメド・アリとの決戦だった(1976年)。

 しかしアリ戦は酷評される。当時のスポーツ紙を見てみよう。

『世界中に笑われた アリ・猪木』『“スーパー茶番劇”なにが最強対決』『サギだ!ペテンだ!』(日刊スポーツ)

『なんだ!アリ・猪木』(デイリースポーツ)

『“残った赤字”3億円』(スポーツニッポン)

『寝技に乗らぬアリ 看板倒れ ファンどっちらけ』(報知新聞)

『寝たきり猪木、アリ打たず』『世紀の上げ底ショー』(サンケイスポーツ)

 猪木は後年、次のように語った。

「アリは一言しゃべれば世界中が耳を傾けてくれる。だけどオレがなにかしゃべっても、誰も聞いてくれやしない。自分だけが取り残されていくむなしさを感じた。しかも莫大な借金まで背負ってしまった。一言で言えば挫折ですよ」(スポニチ10月2日掲載、二宮清純「悼む」)

 あれから46年経った現在、アリ戦の評価はどうか。

モハメド・アリ戦 ©時事通信社

『総合格闘技が生まれた瞬間』(日刊スポーツ10月2日)

 時間が経つにつれてアリ戦の攻防の凄さや先見性を「世間」から認められたのである。スポーツ紙も今ではふつうにプロレス情報を載せるようになった。

一般紙・全国紙はどう報じたか

 では、一般紙・全国紙は猪木の訃報をどう報じたか。小さく報じて終わりなのだろうか? すると……。

 朝日、読売、毎日、産経、東京、日経のすべてが猪木の訃報を大きく伝えた。朝日新聞は『アントニオ猪木さん死去 プロレス「燃える闘魂」元参院議員』(10月2日)と一面の真ん中で伝え、さらに社会面で『闘魂 リングで政界で 猪木さん』。そしてなんとスポーツ面に『猪木イズム 戦い続けた』という記事も。

 スポーツ面でも報じたのは、毎日新聞、東京新聞も同じだった。

『迷わず行ったさ 猪木道』(毎日新聞)

『猪木さん死去 闘魂の軌跡 迷わず行けよ 貫いた一本道』(東京新聞)

 猪木さん、あなたの闘いの数々が「一般紙のスポーツ面」に載っていますよ!