「PTA会長は狂っている」「役員はみんな××だ」――噂の出どころは、バレー部のママたちだった。最近、PTA連合会(P連)からの脱退を試みるPTAが増えているが、「PTAバレー部のママに反対される」というケースをときどき耳にする。P連を脱退したら、会長や役員の悪口を言いふらされたという例もあった。P連脱退は、なぜバレーママの逆鱗に触れるのか? 内情を探った。
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令和でも健在な「PTAママさんバレー」
「え、まだやってるの」と驚いた人もいるかもしれない。そう、昭和から続く「PTAママさんバレー」は今も健在だ。毎年バレーボール大会を行っているPTA連合会(P連)は、現在も少なからずある。プレーに参加するのは保護者のうちごく一部ながら、熱心な人が多い。
ママさんバレーが広まったのは、1964年、日本の女子バレーボールチームが金メダルを獲得した東京オリンピックがきっかけといわれる。以来、主婦の間でバレーボール熱が高まり、PTAでもバレーボール大会が開かれるようになった。当時、主婦は「社会的弱者」とみなされ、スポーツ振興を奨励される対象だった。
だが実は、このバレーボールに泣かされている母親たちもいる。大会の「応援」のために無関係な母親たちが動員されたり、会場準備や運営のため、本部役員が準備にあけくれたりしていることがあるのだ。
だが「バレーボールやめよう」とか「プレーする人たちだけでやってください」と言い出せる人は、なかなかいない。口にすれば、バレー部ママたちの恨みを買ってしまう。チームメンバーは団結しているので、なるべく敵にまわしたくないのだ。
最近はP連脱退を検討するPTAが増えているが、ここでもバレーボールが足かせとなる場合がある。「P連を抜けたら大会に出られなくなる」という理由で、バレー部の人たちが脱退に反対するからだという。