バレー部のママたちが言いふらしていた役員への悪口
東京都のある公立小学校のPTAは、今年の春、区のP連を脱退した。P連主催のイベント運営など、本部役員の負担が大きかったからだ。
P連が開催するバレーボール大会も負担の一つだった。毎年輪番でまわってくる幹事校は、自校の体育館を大会会場として提供し、PTA本部役員が大会運営に当たることになっていた。対戦表やスケジュールの作成、予選会場や会議室の場所取りといった事前準備や、会場設営や後片付け等を、役員たちがこなさなければならないのだ。
こういった仕事の引き継ぎは役員内のみで行われ、バレー部の人たちは顔さえ見せない。役員が大会を運営するのは当然とされていることに、みな違和感を抱いていた。
とはいえ、ここで「P連を抜ける」といえば、バレー部の人たちが反対することは目に見えている。そこであらかじめ役員たちは、バレー部を含む全ての保護者に対し「P連の担当役員」を募った。バレーボール大会に今後も参加したい人がいたら、P連の担当を担ってほしい、それならP連加盟を継続できる、と伝えたのだ。
だが、立候補する保護者は誰もいなかった。バレー部の母親たちも、みな無反応だった。そこで同PTAは、年度末でP連を脱退することを正式に決定した。
ところが新学期が始まると、バレー部のママたちが役員の悪口を言いふらしていることがわかった。「PTA会長は狂っている」「役員はみんな××だ」などと吹聴し、バレー部ではない保護者にまで聞き苦しい噂が広まっていた。
だったらP連担当の役員を引き受けてくれればよかったのに――。「バレーボールはしたいが負担は背負いたくない」というのは、さすがにむしが良すぎる。役員たちはそう思ったが、当人たちは「これまで通り」を望んだだけだった。
こんなふうに、バレー部の母親たちが、他の保護者たちに及んでいる負担に無頓着な例は、取材をしているとときどき聞く。