7月6日、ロンドンで米連邦捜査局(FBI)長官、英情報局保安部(MI5)長官による企業経営者向け合同講演会が開かれました。その際のクリストファー・レイFBI長官の講演録をFBIの許可を得て文藝春秋11月号に掲載(「FBI長官からの警告」翻訳・布施哲)。その一部を公開します。
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「中国政府こそが長期的かつ最大の脅威である」
ありがとう、ケン(・マッカラム、MI5長官)。今週ここに来て我々が直面している共通の脅威と我々の2つの機関の素晴らしい協力について話せることはとても光栄です。
FBIにとってMI5ほど親密なパートナーはいません。テロ対策からサイバー攻撃を使った知的財産の窃取、国際的な弾圧から諜報活動まで、私たちの機関が直面するほとんどすべての任務において連携しています。私たちが共に取り組む課題に共通項があることにお気づきでしょう。そしてどれも困難な課題ばかりです。
私たちの世界はさまざまな困難な課題であふれています。ロシアによるウクライナへの侵攻、民間人に対する無慈悲な殺害行為、民間インフラの破壊はその最たるものです。
我々両機関は目下、ロシアの脅威に取り組んでいますが、その一方で本日は、ここにいるビジネスパーソンの皆さんにとっても脅威となる、複雑かつ広範な問題について話したいと思います。私たちは一貫して、中国政府こそが私たちの経済と国家安全保障に対する、長期的かつ最大の脅威であると認識してきました。「私たち」とは、米英両国と欧州やその他の地域の同盟国という意味です。