寝る間もない生活を続ける理由とは?
林下 そうですね。午前1時に起きて準備して、最終的にディナー営業が終わるのが午後9時。そこからシャワーを浴びたりしていると、睡眠時間はたいてい3時間程度になります。
でも、俺はもともとショートスリーパーだし、常に脳の半分が寝ているような人間だから大丈夫。そもそも従業員として能力を発揮する立場にないので、「働いている」とも言えない状態ですから。
子ども無料の食堂開業を目指して
――現在は生活の拠点も大磯に?
林下 正式な住所は、息子が暮らしている東京都の江東区にあるんですけど、今は食堂の近くの倉庫で寝泊まりさせてもらっています。
――前回、息子さんが作った借金を返済中との話をお聞きしましたが、給料は受け取っているんですか?
林下 とんでもない! こちらは修行させていただいている身ですから、むしろタダで勉強させてもらって申し訳ないと思っているくらいですよ。でも、家賃も光熱費もかかりませんし、金の使い所といえば仕事の合間に飲み物を買うくらいなので、生活にはとくに困りません。
――非常にストイックな生活ですが、これは何を目指しての修行なのでしょうか。
林下 自分で食堂を開きたいんです。ほら、最近は男も女もシングルで子育てをしている世帯が多いじゃないですか。そこで経済的に困っている家庭の子からは一切お金をとらない食堂をつくりたくて。
――それは素晴らしい。ダディらしい社会貢献ですね。
林下 最初はシングルの家庭限定で無料にしようと考えていたんですけど、そう単純な話でもないんですよね。経営的なことはもちろんだけど、うちの娘に「シングルの家庭って『うちはシングルです』とは言いにくいんじゃない? そもそもどうやってそれを確認するの?」と指摘されて、確かにそうだなと。それにタダで飯を食わせるとなると、人は厚かましくなるか気がひけるかのどちらかですからね。