検察官から「奥さんに落ち度はありますか?」
「『なんで暴力を振るったのだ』と、当然理屈でも正しいことではありませんが、毎日考える中で、彼女が話した内容、そのような話を聞いたとき、愛していたので、『彼女だけはそういう人であってほしくない』と許せなかった。その結果、暴力という最低の手段に……」
「話を聞く中で、違うことや新しいことが出てきたりする中で、エスカレートして暴力を振るった。ただ『話が変わるか、嘘をついたから殴る』という感覚的な話ではなく……『なんでそうなの』というのを繰り返し話している中で、腹が立ったという気持ちがなかったとは言えません」
「縁があって結婚した……墓に入るまで一緒に、と私は思っていたし、妻も、2人で幸せになろうと言ってくれていました。揉めていた時もかなりありますが、喧嘩して揉めていたときに妻が言ってくれたのは『今は毒出し期間だから、終われば幸せになれる。頑張ろうね』と。そう言われて過ごしていました。だからこそ、一生で、最初で最後の相手だと私が勝手に思っていた女性の理想像との違いで暴力を振るってしまいました」
あくまでも“妻の過去”から暴力を振るったのだと長い時間をかけて述べる武藤被告。検察官から「奥さんに、こうあってほしいという理想を押し付けているだけですよね? 奥さんに落ち度はありますか?」と指摘されるも「私の口からはなんとも言えない」と返答し、さらにこう続けた。
「理由はあるが、正当化できる理由ではありません。あえて言うなら、妻が嘘を言い続けてくれた方がよかったと思いますが、私の勝手な言い分です」
「空手ごっこだと思っていました」
さらには、誰の目から見ても激しいと思える暴力の内容についても、妻への口止め工作を否定しながら、独自の見解を述べる。
検察官「1月の暴力のあと、被害者とのLINEで『蹴りが入りました』『空手がベスト』などとやり取りしていますね。これはあなたが蹴ったことに間違いないですか?」
武藤被告「どういう背景で暴力を振るったのかわからないですが、初め私は……結婚を決めた後にいろんな話をして、彼女が家に来た時、空手の話をして『どんなことやるの?』という話の中で、冗談でやってみたんですが、私は4年くらい空手をやっておらず、足が上がらなくて、股関節が上がらないんだということもあったので、頑張って蹴った時、(妻に)当たって、怪我させたんだと初めは思っていました。初めは空手ごっこだと思っていました。ただその暴力が私によるものでないとは言い切れないので、妻が私の蹴りによって怪我をしたというのなら、そうだと思う」