どんな人でもそうだけど、他人にすべてに共感してもらうことはできないのだ。あるタレントを熱狂的に好きでも、その人のすべてに共感し続けることは難しい。適度に信頼感がないほうがいいのだと思う。僕にとってマツコさんはすべて芯を食った発言をする人ではなく、ちょっと自分の価値観とは違うなって思うような発言をしても嫌いになれない人だ。誰もが万人に受け入れられる完璧なことを言い続けることはできない。
マツコさんもきっと多くの失敗をしてきているのだと思うけれど、それでもここまで評価されるのは、やっぱり世間は失敗よりも成功を記憶するからなんだろうな。『アウト×デラックス』の最終回が終わった後、マツコさんの楽屋にご挨拶に行ったときに「なんか知らないけど、あなたは大丈夫だと思うわ」と言ってくれた言葉だけは盲目的に信じることにしている。
総理大臣にするなら「ナジャ・グランディーバさん」
大阪を中心に活躍している女装家のナジャ・グランディーバさんもすごいと思う。MBSラジオ『ナジャ・グランディーバのレツゴーサタデー』(現在は『ナジャ・グランディーバのレツゴーフライデー』に名称変更)は超どうでもいいことをゆるゆると話していて、気楽に聞くことのできる至極のエンターテインメントだ。僕が毎週の楽しみにしている番組の一つでもある。
そのラジオの反省会がYouTubeにアップされていて、そのチャンネルもめちゃくちゃ面白い。僕がハマったエピソードは、ナジャさんが自分の発言がネットニュースになったときに、その発言を取り上げたスポニチ(スポーツニッポン) に使われている写真が嫌だという話題。次の週もラジオでスポニチの悪口をぐちぐちとしつこく言っていた。
そして、遂にスポニチの記者さんをYouTubeの反省会チャンネルに呼び出したのだが、スポニチの記者さんもお茶目で、ナジャさんが嫌がっている写真を大きく伸ばして額縁に入れてプレゼントした。スポニチさんも全然反省していなくて、そのやりとりが最高に面白いからぜひ見てほしい。
ナジャさんのいいところは、くだらなくてしょうもないことをうじうじ言っているところ。ナジャさんも僕と同じく器が小さいなと思うけれど、それが想定外の事態を巻き起こして面白い。写真の写りをなんとかしてくれってガチで頼むことでスポニチがあんなに粋なボケをしてくるなんて想像もしなかった。
あるとき、『5時に夢中!』で「芸能人で総理大臣にするなら誰?」という話題でナジャ・グランディーバさんを挙げた。総理大臣なんて官僚が決めたことやるだけやし、見た目のインパクトでいいやん。世界の外交の場に日本の総理大臣として女装家が来たら世界もぶったまげるだろうという冗談込みの意見だった。