ゲイ風俗やゲイバーで働いた経験を赤裸々に発信し、ツイッターのフォロワー数53万人超えのもちぎさんが、幼少期や10代の頃のことを綴ったエッセイ『あたいと他の愛』を上梓。同性パートナーと出会うまでの半生を綴ったエッセイ『僕が夫に出会うまで』の著者で、江戸川区を中心にLGBTQの啓発や同性婚実現に向けた活動をしている七崎良輔さんとの対談が実現しました。

 もちぎさんと七崎さんの意外な共通点、七崎さんがぶつけられてモヤモヤした言葉、もちぎさんの一人称「あたい」に隠された深~い理由……様々な話題が飛び出した、ユーモラスな2人のトークをお楽しみください。(全2回の2回目/前編を読む)

七崎良輔さん(左)ともちぎさん(右)

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もちぎ 自分はSNSで発信してますが、七崎さんは江戸川区でパートナーシップ制度導入を働きかけて実現させるなど、同性婚に関する活動をされていますよね。そもそも活動を始めようと思ったきっかけって、なんですか。

七崎 大きかったのは、以前付き合っていた彼氏とのサプライズ結婚式を友人が挙げてくれたこと。それまでは、ゲイだから孤独死決定だし、ゲイだっていうことはあまりおおっぴらに言うことじゃない、と思ってました。なんなら、ゲイに生まれたこと自体、なにかの罰なんじゃないか、とも。でも、付き合っている人との関係を周りの人に祝福してもらった経験を経て、自分に対する価値観がすごく変わったんです。

もちぎ では、大切な人との関係を、社会的に認めてもらえたというのが原点。

七崎 そこがスタートだったと思います。「私、幸せになれるんじゃん」って思ったし、まだ気づいていない当事者の人たちにも、それに気づいてほしいって思った。そうやって、2011年くらいからコツコツ活動を続けてきました。

なぜ重荷を背負わされるんだろう

もちぎ 10年近く活動していると、誹謗中傷を受けることはありませんか。

七崎 リアルではあまりないんだけど、SNSではいろいろと言われますよね。最近腹が立ったのは、「添い遂げたら同性婚も認めてやる」ってコメントですね。すげえ荷が重い。結婚しても別れてしまう異性間のカップルなんてたくさんいるのに、なんでマイノリティだけ、こんなに重い荷を背負わされるんだろうって。

七崎良輔さん

もちぎ「マイノリティが意見を言ったり、権利を求めるのなら、人生全部投げ出してやれ」って姿勢の人っていますよね。自分がよく言われるのは、「発信するなら顔を出せ」。でも、ゲイだからといって人生懸けて声をあげなきゃいけないっていうのもまた不公平なんじゃないかと思うんです。

 だから、自分は顔も出さないし、不完全な部分も発信する。完璧じゃない、普通の人のための発信がしたいです。