コロナ禍で苦しむ事業者を対象とした「ゼロゼロ融資」をめぐる不正で全国初の行政処分を受けた名古屋北部を地盤とする中日信用金庫。東海財務局は同金庫による融資先の業績改ざんを認定し、9月30日に業務改善命令を下した。
そんな同金庫が「想定問答集」を作成し、外部からの問い合わせがあった際、職員たちに“組織ぐるみの不正ではなかったこと”を強調するよう指導していたことが「週刊文春」の取材でわかった。想定問答集を入手した。
“ゼロゼロ融資”で全国初の行政処分
“ちゅうしん”の略称で親しまれる中日信金。従業員は約240名で、融資残高は1792億円(2021年度)。中小零細企業との取引が中心の中堅信用金庫だ。
小誌は7月11日配信の電子版で「《職員が告発》中日信用金庫 コロナ“ゼロゼロ融資”不正で東海財務局が立入検査 上層部のパワハラ、業績改ざんの疑いも」と題し、同金庫の不正をいち早く報じていた。
ゼロゼロ融資とは、コロナ禍で売上が減った事業者に対し、金融機関が実質無利子・無担保で行う制度融資だ。小誌の報道後、地元メディアがこの件を一斉に報道。そして9月30日、東海財務局が同金庫に対して業務改善命令を下した。
職員の一人が語る。
「不正な貸付の背景にあったのは、金庫内の歪んだ権力構造と、それによって生み出された営業への過剰な圧力です」