「取締役会に解任動議を提出するという案が出ていました。中でも、夏野剛社長は『上場企業としてこのままでいいはずがない』と考えていた。角川さんと近いとされた代表取締役の山下直久氏も、夏野氏ら他の取締役に同調するようになりました」(同社幹部)
角川被告に、逮捕案件と類似の疑惑やコンプライアンス違反が無いか、社内調査も進めたという。
「自分の引き際は自分で決めさせてほしい」
「とはいえ、創業家一族でもある角川さんの意向を蔑ろにはできません。そこで、ある取締役が“現実”を伝えるべく角川さんに手紙を出したのです」(同前)
角川被告からの返事は次のようなものだった。
「自分の引き際は自分で決めさせてほしい」
これを受けて、開かれたのが9月29日の取締役会だ。
「夏野氏は言葉少なでしたが、想いを同じくするドワンゴ創業者で現取締役の川上量生氏が積極的に発言していました。一方で、社外取締役の中には『無罪を主張しているにもかかわらず、解任動議を提出するのは手続きとして乱暴だ』などとする意見もあった。最終的に、10月4日とされていた起訴を受けての対応を待つことになりました。もし自ら会長辞任を表明しない場合には、翌5日に臨時取締役会を開き、解任動議を提出する運びになっていたのです」(前出・幹部)
取締役の山下氏に聞いてみると…
山下氏に聞いた。
――29日の取締役会で解任動議が?
「それは答えられません」
――角川さんのコンプラ違反なども探していた?
「それはこれからってことじゃないですかね」
KADOKAWAに解任動議などについて、個別の質問には答えず「事実と異なります」と回答した。
役員会の暗闘の陰で、自ら辞任を決めた角川被告。KADOKAWAから、その名を持つ男は再び追放されることになる。