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《サンシャイン乱闘騒ぎ》「切ると刺すでは違うのだ。本当に殺したければ刺すのが一番だ」怒羅権初代総長が語る中国人犯罪グループの“省民性”

「怒羅権 初代」より#3

2022/10/17
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 長いスパンで物事を考える上海人より、目先のカネを踏み倒してでも手に入れる東北人が、当時の日本において勝者になった。そして怒羅権にはその東北人が多かったのだ。

 長々と記してきたが、このぐらいでマフィア・怒羅権の生い立ちは理解いただけただろうか? 暴走族・怒羅権は、日本における差別や偏見からの反発が出発点にあった。マフィア・怒羅権は、もちろん根幹ではそれを踏まえた部分もあったにせよ、実利を最優先で組織された部分も多分にあったのだ。

中国河北省で暮らしていた少年時代の佐々木氏

 ひとつ付け加えるとすると、中国人と青龍刀のイメージは、上海人がつくったということ。怒羅権といえば刃物で、やはり青龍刀の話をよく聞かれるが、実際に私は青龍刀を持ち歩いている人物を見たことがない。いわゆる「青龍刀事件」といわれる殺人事件が歌舞伎町であった(1994年)。あれは上海人であり、台湾人によるものだった。

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私自身、男の悲鳴を半ば以上に楽しんでいる時代もあった

 人間は切られたら出血量が半端ではない。でも死なないのだ。刺すわけじゃないから。しかし、切ると血が派手に出る。それは凄惨な光景になる。だからインパクトとして残る。切ると刺すでは違うのだ。本当に殺したければ刺すのが一番だ。

 私自身、男の悲鳴を半ば以上に楽しんでいる時代もあった。ただそういうときは刺したりしない。殺す気がないのだから、吊るして、痛めつけて、せいぜいが切り刻むまでだ。何が言いたいかというと、上海人でも、全員がおとなしいわけでもなければ、時代によっては非常に高い暴力性を持っていたということだ。ただ、暴力性には質があるし、同じ出身省でも世代によって気質も違う。当然のことだが、怒羅権だって同じではない。ただ、怒羅権の派閥がそれぞれどんな特徴を持っていたかなど、私の口からは言えそうもない。正確に記すなら、わからない。怒羅権はそれほどに、複雑なのだ。

怒羅権 初代 ヤクザが恐れる最凶マフィアをつくった男 (単行本)

佐々木 秀夫(ジャン・ロンシン)

宝島社

2022年2月14日 発売

《サンシャイン乱闘騒ぎ》「切ると刺すでは違うのだ。本当に殺したければ刺すのが一番だ」怒羅権初代総長が語る中国人犯罪グループの“省民性”

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