東京・池袋の高層ビル「サンシャイン60」のレストランで16日夕に発生した乱闘騒ぎ。準暴力団の「チャイニーズドラゴン」のメンバーが加わっていたとされ、仲間の出所祝いのため100人規模で集まっていたようだ。
彼らは「半グレ」とも称される集団で、山口組などの「指定暴力団」と違い、暴力団対策法などの網にかからないため、取り締まりることが厳しい。
前身の「怒羅権」は1980年代後半に中国残留孤児2世グループによって結成され、ヤクザも警察も恐れた最強不良集団だった。
そんな“暴力に満ち溢れた”世界に生きる中国残留孤児2世の生態や行動原理とはどのようなものなのか――。
「怒羅権」初代総長であり、10年に及ぶ服役を経験した佐々木秀夫(ジャン・ロンシン)氏の著書『怒羅権 初代』(宝島社)の抜粋記事を再公開する(初出2022年2月21日、肩書き、年齢等は当時のまま)。
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中国人犯罪グループは、その出身省によって明確な省民性を備えていた。
「福建省の人間はすごく悪いから気をつけたほうがいいよ」
留置所や刑務所において、私を日本人と勘違いしたり、怒羅権の名前が今日ほどブランド化されていない時代には、そんな忠告をしてくる者も多かった。
当時、彼らがカモにしていたのは、歌舞伎町などを根城とするヤクザである。ヤクザの事務所など関係先に踏み込み、金目の物を強盗する。荒っぽい手口だったが、ヤクザは被害に遭っても警察に相談することはない。それはプライドの問題である。「中国人に強盗に入られました」などと被害届を出そうものなら警察当局からも笑われる。ヤクザの入れ墨を見てビビるのは日本人だけだ。福建省などの不良外国人に恐れなど存在しなかった。
カネで解決する上海人、暴力性を担う福建省グループ
「福建省の連中は何をするかわからない。なんでもやるから怖い。すぐ仲間も裏切る」
そんな忠告を私も山ほど聞いてきたが、大阪人がみんな漫才師みたいに面白いわけではないように、福建省出身者がみんな統一的な性格をしているわけではない。それを肌で知っている私は、笑って流しているだけだったが、福建省の人間が暴力性に長けており、東北三省の人間は、さらに田舎臭い粗暴さまで持ち合わせていた者が多かったのも事実だ。
また、上海出身の人間は荒事を好まず、もっといえばできなかった。いわゆる頭脳でシノギをつくり出す能力に長けていた。金持ち喧嘩せずで、本当の抗争になればカネで解決するか、逃亡してしまうのが上海人だ。目端が利いて、死ぬという最大リスクは負わない賢い連中とも言えるが、日本でカネを稼ぐにはどうしても手足となる人員がいる。それを担っていたのが東北グループや福建省グループになるわけだ。