1ページ目から読む
3/4ページ目

──通常は、キャラクターのセリフですよね。

井上 歌と作品を一緒に盛り上げていくコンセプトで、みなさんの前に立つ機会が本当に多かったです。キャラクターソングもいっぱい歌わせてもらって、ウルド役の冬馬由美ちゃん、スクルド役の久川綾ちゃんと一緒にイベントに舞台挨拶に、楽しい思い出がいっぱいでした。

──裏方が心地よかった井上さんが、表舞台に立つ喜びを知ったのがベルダンディーなんですね。

ADVERTISEMENT

1994年11月30日発売の『声優グランプリ』創刊号では表紙を飾ったことも(画像提供:主婦の友インフォス)

井上 それでも、やっぱり人前で歌うのって緊張します。でも、舞台に出るギリギリまで「もう無理無理!」って冷や汗かいてるのに、舞台袖から出ちゃうと「どうもどうも~!」みたいな。意外と楽しめちゃうんです。

──切り替えがすごいです(笑)。

井上 どこか図々しいんです、きっと(笑)。もうひとつ、『おねがい☆ティーチャー』のみずほ先生(風見みずほ)は、声優としての自信を与えてくれた役です。

──2002年の作品なので、デビューから14年で声優としての自信をもった。

井上 「このキャラクターを生きた」と感じられたのが、みずほ先生。声優業界では「1クールその役を演じると板につく」と言われますが、私は遅くて全然で。みずほ先生を演じてから、ようやく、その実感を持てるようになりました。

みんなに「怖い」と言われる役も嬉しい

──お母さん・お姉さん役の印象が強かったですが、井上さんが演じる役もどんどん変化しています。

井上 『サクラ大戦3』のロベリア以降、クールな役や低い声の役も増えました。

──もともとロベリア役でオーディションに呼ばれたんですか?

井上 オーディションは同じ日に花組の5人を呼んで、声のバランスをチェックするもので、ほぼ決め打ちでした。広井さん(原作の広井王子さん)が私が吹替で出た洋画を見て呼んでくれて、1人だけ隠し玉として意外性のあるキャスティングにしたみたいです。

──演じる役の幅を広げてくれた。

井上 ありがたいですね。アニメ以外では、ゲームの『メタルギアソリッド3』の、軍人の女性であるザ・ボスも、私には勲章みたいな役。最近だと『バイオハザード ヴィレッジ』のドミトレスク夫人は3メートルもある大女で、みんなに「怖い」と言われるような役も嬉しいです。