1988年のデビュー以来、数えきれないほどのキャラクターを演じてきた声優人生をふり返る初の自叙伝『井上喜久子17才です「おいおい!」』を発売した井上喜久子さん。10月20日には、17才と1万5000日を迎えた。
2015年からは、娘であるほの花さんもまた、歌手・声優として活動をスタート。親として、ほの花さんの活動をどう感じているのか? 「2世声優」について思うことを率直に聞いてみた。(全3回の2回目/#1、#3を読む)
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母の心配と娘のプレッシャー
──井上さんの長女のほの花さんも歌手・声優デビューしています。
井上 昔から歌うことが好きな子で、高校からは本人の希望で歌のレッスンやボイストレーニングを受けていました。ほっちゃん(ほの花さん)がちょうど17才の時に、私の姉が社長で、私も所属している事務所・アネモネの知り合いからゲームの『太鼓の達人』に向けて歌える人を探していると聞きまして。
──ここでも17才が(笑)。
井上 なんだかネタみたいですね(笑)。事務所に所属してる若い子がほっちゃんを推薦してくれたんですよ。歌手として採用されることになって、どこにも所属していなかったので、じゃあうちに入ってみようか……と決まったのがスタートです。
──ほの花さんが喜久子さんが声優をしていると理解したのはいつ頃でした?
井上 家では仕事の話はあまりしてなかったけど、保育園児の頃にはなんとなくもうわかっていたみたいで。園でしまじろうのお母さんを見て「これ私のママ」とお友達に自慢していたらしいです。それを聞いて「やめて~!」って(笑)。
──歌に興味があったのは、喜久子さんの影響?
井上 どうでしょうね……どちらかというと、ディズニー・チャンネルの影響が大きいです。特に、女の子が歌いながら成長するミュージカル要素のある作品を浴びるように見ていたので。
──そうなんですね。『太鼓の達人』で歌手デビュー後、『劇場版 しまじろうのわお! しまじろうとえほんのくに』のしろりん2役で声優としてもデビューしました。
井上 私がしまじろうのお母さんをやっているので、これが初共演で、初アニメの声優のお仕事ですね。本当にもう、娘が声優業をスタートしてから1年くらいは気が気じゃなくてお腹が痛かったです(笑)。
新人だともっと大変な思いをしながらようやくデビューする方もいるわけで、しかもみなさん私の娘だと知っているし、もしもご迷惑をおかけしたらと想像すると……。
『えほんのくに』のアフレコでも、私も自分の役があるのに娘がマイクの前に立つと倒れそうになってました(笑)。「ちゃんとしゃべって!」と祈るような気持ち。スタジオで新人さんとは座る席が離れていましたが、アイコンタクトで「大丈夫だよ」なんて目線を送っていました。