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「コロナ禍の終わりはもう目の前まで来ている。しかし…」現役医師・知念実希人が見た、医療現場の“壮絶なリアル”

2022/10/24

source : 文藝出版局

genre : ライフ, 医療, 読書, 社会

 現役医師として「発熱外来」という“ウイルスとの戦いの最前線”に立ち続けてきた、小説家の知念実希人さん。

 コロナ禍の終焉はいつ訪れるのか――医師として目の当たりにした“コロナ禍の医療現場のリアル”を語っていただきました。

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 2019年末、中国湖北省武漢で原因不明の肺炎患者が複数確認されたという一報が入ったとき、多くの医療従事者の反応は「ああ、またか」という軽いものだった。原因不明の感染症の局所的な発生はそれほど珍しくない。ほとんどの場合はすぐに既知の病原体が特定され、感染は終息していく。今回もそんな経過をたどるだろうと考えられていた。

 しかし感染は終息するどころか、みるみる拡大していき、そして患者からはこれまで確認されたことのない新しいタイプのコロナウイルスが検出された。

知念実希人さん(撮影:近藤篤)

医療現場に走った“緊張”

 未知のウイルスの発見に医療現場には軽い緊張が走ったが、詳しいデータが公表されるにつれ警戒は薄れていった。新型コロナウイルスの致死率は、2002年に中国広東省で発生し、その後、世界中に広がったSARSウイルスよりもはるかに低く、ヒト‐ヒト感染は起こっているものの、家族内の極めて濃厚な接触歴がある場合に限られているとWHOが発表したからだった。

 SARSウイルスのパンデミックのときも、日本国内でSARS患者は発生しなかった。病毒性も伝播性もさらに弱いウイルスなら、公衆衛生が発達した日本で大きな問題になることはないだろう。そう油断していた医療従事者を恐怖のどん底に叩き落としたのが、豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号で起きたメガクラスターだった。

 3700人強の乗客・乗員のうち、約20%にあたる712人の感染者が確認されたことにより、新型コロナウイルスの伝播性はWHOの発表より遥かに高いことに気づかされた。そして、スペイン風邪の大流行以来、100年ぶりのウイルスと人類の全面戦争の火ぶたが切って落とされたことを多くの医師が悟ったのだった。