多彩すぎるゲストは「あの人は今」から「この人は誰」まで
この番組の魅力は、なんといってもジャンル不問の40~90代の多彩なゲスト――、番組ファンを公言する東京ダイナマイト・ハチミツ二郎の言葉を借りれば、「“あの人は今”から“この人は誰”まで」を網羅したラインナップに尽きるだろう。放送回数は1500回以上、これまで出演したゲスト解答者の総数は、驚愕の2000人越えである。20歳を過ぎた大人がお酒に触れるように、40歳を過ぎた芸能人が『脳ベルSHOW』に出演するのは、ある種の通過儀礼のようになっている。
多士済々と言えば聞こえは良い。だが実際のところは、往年の俳優、歌手、スポーツ選手のみならず、「つい最近歌手としてデビューした」というスナックのマスター(99%素人)まで出演。彼らが、よーいドンで脳トレにチャレンジする姿は異様としか言いようがなく、高齢の解答者、破天荒な解答者も少なくない。白紙解答、カンニングまがいのハプニングも日常茶飯事。「普通回」を視聴することの方が難しいくらいだ。
たとえば、“藤原組長”ことプロレスラーの藤原喜明が登場した際は、懐に忍ばせたウィスキーを勝手に飲み始め、「酒の力で解答する」なんてこともあった。
またあるときは、「白塗りタレント対決」と題して、コウメ太夫、アツシ(ニューロティカ)、氏神一番(カブキロックス)、岩崎ひろしが集結。4人の白塗りたちが脳トレクイズに挑むという、暗黒舞踏でもお目にかかれない光景を茶の間に届けたこともあった。
と、まぁ平たく言えば「なんでもあり」で「なんとかなる」……連日連夜、地方の夏祭りを見ているようなクイズバラエティ、それが『脳ベルSHOW』なのである。
筆者が過去に取材をした当時の番組プロデューサー・小沢英治氏は、キャスティングについてこう答えている。
「『どうやってキャスティングをしているのか?』と、よく聞かれるのですが、嗅覚という言葉でしか説明できない(笑)。どう混ぜたらおいしくなるか……料理人に近いものがあるかもしれません。地上波のテレビはどんどん新しいタレントさんが登場しますが、うちは逆。熟成された方々に出演していただきたい。『脳ベルSHOW』は守り続けたものが1つあれば、光り輝く番組ですから」
ますだおかだ・岡田の仕切りのすさまじさ
そして、闇鍋のようなむちゃくちゃな料理を、奇跡的に美味しく仕上げるのが、MCを務めるますだおかだ・岡田圭右と、それをサポートする川野良子アナウンサーだ。『脳ベルSHOW』は、この2人なくして成立しない。
記念すべき第1回放送で、映画監督の山本晋也が白紙で解答するという1コマがあった。このとき、岡田は「残念! タイムオーバー!」という言葉で表現。解答できなかったゲストが悪いのではなく、あくまで番組側の都合で不正解になったようにさばいて見せたのだ。