BSフジで放送されている『クイズ!脳ベルSHOW』(以下、『脳ベルSHOW』)が、これまでの週5回の平日帯放送から、秋の改編によって週1回(月曜22時~)の放送に変更となった。
昭和の香りを色濃く残す同番組は、BSフジのみならず、BS番組全体の中でも屈指の人気を誇る名クイズ番組だ。それだけに、なぜ週1回に縮小されたのか、気になる人は多いだろう。
『脳ベルSHOW』の歴史を振り返りつつ、その理由を、BSフジ編成局編成部のキーマンに訊いた。
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「『脳ベルSHOW』が週1になるらしい……」
そう消沈気味に、『脳ベルSHOW』ウォッチャーの友人が教えてくれたのは、まるで日差しが衰える気配のない晩夏のこと。世間一般では、どうでもいい些事だろうが、一部の好事家にとって、この番組が週1に縮小するというニュースは一大事である。
それにしても、BS番組全コンテンツの中でも一二を争う超人気番組を、なぜ縮小するのか? そうした疑問を、『脳ベルSHOW』を立ち上げた、BSフジ編成局編成部企画担当部長・谷口大二氏に質すと、
「『脳ベルSHOW』で培った昭和の良き時代感を、1週間の各番組に散りばめるため」
という回答を得た。どうやら戦略的縮小であるらしいのだが、その話の続きをする前に、そもそも『脳ベルSHOW』とは、いかなる番組なのか整理しておきたい。
優勝者には「あきたこまち5キロ」贈呈
同番組のスタートは、2015年10月までさかのぼる。クイズと名が付くように、脳トレを基盤とした問題で、脳に衰えが見えてくるだろう40歳以上のゲスト解答者4人を招いて競わせる。優勝者には、あきたこまち(5キロ)が贈呈される。賞金という概念はない。「米」である。
実は当初、『脳ベルSHOW』は、水曜22時台の1時間番組だった。知識を競い合う地上波のクイズ番組とは違い、なぞなぞをはじめとした“頭を使うこと”の楽しさを思い出させてくれる同番組は、中高年を中心にじわじわと人気が浸透。同時間帯で視聴率トップを奪取するや、その勢いのままに、放送開始1年後には放送日を月~木曜に拡大し、2017年4月からは月~金曜まで平日の帯番組へと成長してしまう。
さらには、一時期、本家地上波フジテレビでも、早朝4時から平日の帯で放送するという暴挙……失礼、快挙を成し遂げるまでに。「明け方に妙なクイズ番組を見た」といった声が続出する“オバケ(のような)番組”として、『脳ベルSHOW』は知る人ぞ知る「面白い番組」として定着していく。
といっても、単にクイズが面白いだけでは、ここまで飛躍はしない。