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〈懲役20年判決〉団地に妻と娘を残して…娘ほどの年齢の美人店主(25)に異常執着した宮本浩志被告が殺人犯になるまで

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 2021年7月、カラオケパブ「ごまちゃん」の常連客だった宮本浩志被告(57)がオーナーの稲田真優子さん(当時25)を刺殺した事件。大阪地裁は10月20日、殺人の罪に問われていた宮本被告に懲役20年の判決を言い渡した。

 起訴内容について黙秘を続けながらも、自ら「死刑でお願いします」などと繰り返し発言していた宮本被告。なぜ、凄惨な事件は起きてしまったのか。事件当時の様子、宮本被告の“裏の顔”、遺族の悲痛な叫びを報じた「週刊文春」の記事を再公開する。(初出:「週刊文春」 2021年7月1日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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“まゆちゃん”に放っておかれるとキレる

 宮本と稲田さんの人生が交差したのは約4年前のこと。Aを訪れた宮本は稲田さんに入れ揚げ、店に通い詰めるようになった。

「店ではいつもスーツ姿で、カウンターの端の席が定位置。“まゆちゃん推し”で、焼酎を静かに飲みながら彼女と話していることが多かったですが、相手にされず放っておかれると不機嫌になり、キレて揉め事になったこともある。Aのオーナーが『もう来んといてくれ』と出禁通告したこともあったそうです」(Aの関係者)

 だが、宮本は店の外でも執拗に連絡を続けていたようだ。前出の知人が語る。

「2年ほど前、彼女は『西宮の客でしつこい人がいる』と漏らしていました。LINEが30件も40件も立て続けに来ている画像を見せられたこともあります」

遺体は死亡3日後に発見された

 昨年7月末、稲田さんは4年間働いたAを辞め、「ごまちゃん」の開店準備を始める。宮本と店で会うこともなくなり、悩みから解放されたはずだった。

 ところが――。

「あいつは『ごまちゃん』にも毎日のようにおったで。半年で10回ぐらい行ったけど、毎回会いましたわ。僕らは11時半とかに行って1時間ぐらいで帰るんやけど、それより早くからいて、遅くまで残ってましたね。あんまり口を開かず、『毎日おるな。どんだけ好きやねん』っていじったことありますけど、愛想笑いぐらいでしたね」(客の一人)

 団地に妻と娘を残して、娘ほどの年齢の稲田さんに連日会いに行く宮本。カラオケでは小田和正のほか、稲田さんが好きなアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の歌を覚え、無理な裏声で歌うこともあったという。

 事件9日前の6月2日は宮本の誕生日。この日も自宅ではなく店に向かった宮本に、稲田さんはろうそくを立てたケーキやノンアルコールのシャンパンでお祝いをしてあげていた――。