過去にもドラフト会議を沸かせてきた日本ハムファイターズらしい驚きの指名だった。新庄剛志監督好みの指名でもある。

 今季米大リーグ、ブルージェイズで初昇格を果たした加藤豪将(ごうすけ)内野手(28)が日本ハムに3位指名された。加藤はメッツとマイナー契約を結んでいるため「今後の事に関しては周囲と相談し、しっかり考えたいと思います」とツイッターに投稿しただけで、入団について意思を明らかにしていない。日本ハムにとって魅力ある存在であるのは確かだ。

今季、トロント・ブルージェイズからメジャー出場を果たした ©David Butler II-USA TODAY Sports/時事通信社

ジャッジと同年のドラフト2巡目

 加藤は、大谷翔平や鈴木誠也と同じ1994年生まれ。日本人の両親の下、幼少時からカリフォルニア州で暮らし、高校を卒業した2013年のドラフトでヤンキースから2巡目で指名された。同年ヤンキースが1巡目で指名したのが、今季62本塁打でア・リーグの記録を更新したアーロン・ジャッジだった。この年ヤンキースは上限の40巡を使い切って42選手(FA補償で得た二つの指名権を含む)を指名した。2巡目がいかに高い評価であるかが分かる。

ADVERTISEMENT

 ただ、入団時の期待のままレールに乗って昇格を果たしたわけではない。入団から2、3年目にヤンキース傘下の1Aで好結果を残すことができず、期待の若手という意味の「プロスペクト」と呼ばれることがなくなった。再び注目されたのは、(マイナー最上位の)3Aに定着した2019年だった。

 マイナーでは、選手の扱いに大きな差がある。メジャー契約を結んでマイナーでプレーする選手と、それ以外の選手だ。メジャー契約は各チーム40人で、大リーグのベンチ登録は26人。だいたい各チーム10人余りのメジャー契約選手がマイナーでプレーしている。種々の権利を有する「メジャー契約のマイナー選手」の動向に翻弄される形で、他の選手は3Aと2Aを行き来し、時には放出される。

ニューヨーク・ヤンキース傘下の3Aスクラントン時代に打撃練習をする加藤(当時24歳/筆者撮影)

プロ10年目でついに大リーグ昇格

 そんな中、加藤は「野球のビジネスサイドも分かってきている。自分にコントロールできることだけをコントロールするということです」とプレーを続けた。2020年はマーリンズへ移籍したが、コロナ禍で全マイナーリーグが中止に。ただ、そういう時間を無駄にしないのが加藤だ。

 サンディエゴの自宅に戻り、高校のグラウンドで打撃改造に没頭した。

 当時、共同通信の取材に「将来の自分が今の自分に感謝できるような練習をしたい」と語っている。2021年はパドレス傘下の3Aで400打席以上立って打率3割6厘。取り組みの成果はすぐに出た。