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 喜納被告は最終的に、BさんとCさんへの強姦事件や、Fさんへのわいせつ略取未遂事件、新潟地裁からの逃走、そしてEさんの死に関わったとする強姦致死などで起訴された。Eさんに対して殺人罪ではなく強姦致死罪での起訴となり、殺人罪での起訴が見送られたのは、黙秘を続けたことも影響しているようだ。「公判で確実に有罪とする証拠が得られなかった」と当時、新潟地検は説明していた。燃えた車の中から遺体で見つかったDさんについては当初、現場に残された微物のDNA型が喜納被告のものと矛盾しないと報じられていたが、同じように関与を否定し続け、逮捕も起訴も見送られている。

 ともあれ4名の女性に対する事件と逃走事件について、新潟地裁で2015年10月に開かれた裁判員裁判初公判の際、喜納被告はEさんに対する強姦致死について、先のように自身の関与を否定していた。だが、最終的に彼の主張は退けられる。当時の新潟地裁は判決でBさんやCさんに対する強姦、Fさんをわいせつ目的で連れ去ろうとした事件、またEさんの強姦致死すべて喜納被告による犯行であると認定した。控訴審、上告審ともこれを支持して、2018年に無期懲役が確定していたのだった。

被害者は共通して「運転席に座っていた女性」

 当時の判決を見れば、起訴された事件の手口は共通していることが分かる。Eさん以外の被害者は皆、車を運転中、もしくは停止中の状態で、運転席に座っていた女性だった。喜納被告は車に近づくと運転席ドアを開け、刃物を示し「助手席に行け、鍵を閉めろ」などと脅して女性を助手席に移動させたうえで自身が運転席に乗り込む。場所を移動したのち「服を脱げ」「殺すぞ」などと刃物を示して犯行に及ぶ……といった流れだ。強姦の被害を免れたFさんに対しては首を絞めながら「言うこと聞かねえと、殺すっけなあ」「港連れてけや」などと脅したという。

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 今回の裁判員裁判で争われているAさんの件についても、新発田市で女性が立て続けに事件に巻き込まれていた時期に発生している。Aさんが行方不明になったのは、Fさんが車で喜納被告に連れ去られそうになった事件翌月の2014年1月。小川でAさんの遺体が発見されたのは、強姦致死の被害者であるEさんの遺体が見つかる直前の、2014年4月3日だった。

後編に続く)