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なぜ泣ける? 「silent」29歳脚本家が明かす、川口春奈と目黒蓮のキャラクターをどう作り上げたのか

「私は正直、ラブストーリーというのもあって、同世代の女性が(視聴者の)メインになるだろうな、というくらいしか思っていなくて、あまり上の世代や男性にはウケないんじゃないかという軽い気持ちでした(笑)」

「週刊文春」の取材にそう語るのは、「silent」(フジテレビ系=木曜夜10時〜)の脚本家・生方(うぶかた)美久氏(29)だ。

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25歳の頃、脚本家への道を歩み始める

「silent」はCDショップ店員の青羽紬(川口春奈)と、聴力を失った青年の佐倉想(目黒蓮)が織りなす切なくも温かいラブストーリーだ。民放公式テレビ配信サービス「TVer」による見逃し配信の再生回数で歴代最高を更新。若い世代だけでなく、40代、50代からも「こんなに泣けるドラマは何年ぶりだろう」などの声が殺到している。特に評価が高いのは、繊細でリアルな会話シーン。この脚本を書き上げたのが、弱冠29歳の生方氏だ。

ドラマ「silrent」ポスタービジュアル ©フジテレビ

 群馬大学医学部保健学科を卒業後、地元で助産師として働いていた生方氏。脚本家への道を歩み始めたのは、25歳の頃だった。

「昔から活字は全然ダメだったんですが、映画が大好きでした。最初は映画監督を目指して独学で脚本を書き始め、脚本のコンクールなどにも応募しましたね」

 昨年4月に上京。転機は11月、坂元裕二氏らを輩出したフジテレビヤングシナリオ大賞を受賞したことだった。受賞作「踊り場にて」を、「silent」のプロデューサー・村瀬健氏が目にしたことで、彼女の人生も急展開していく。