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1年分の穢れがたっぷり染み込んだお守り

 この事実に対して、私は、怒りの感情は一切湧きませんでした。それよりも「このお守りを落札した人は大丈夫だろうか?」と心配しました。

 お守りというものは、文字どおり、持っている人を守ってくれる存在です。1年間身につけていることで、身に降りかかる災い(穢れ)を吸い取ってくれるのです。

 つまり、メルカリに出品されていたお守りは、出品者の1年分の穢れがたっぷり染み込んだものなのです。

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 そんなお守りを手に入れたところで、御利益は一切ありません。それどころか、前の持ち主の穢れを背負うことになります。知らないうちに、出品者の穢れがスルリスルリと落札者の体内に入っていくのです。

 2万円で落札した人は、出品者に「ありがとうございました」と書いてありました。それを見て、背筋が凍りました。穢れをもらっているのに、ありがとうございます、なのですから……。

手にした時点で穢れを吸い取りはじめる

「未使用であれば、いいのでは?」と、思う人もいるでしょう。いえ、ダメです。未使用であれ、その人が神社で購入した時点で、そのお守りは、その人の穢れを吸い取りはじめるのです。

 さらにいえば、転売目的で、お守りを購入した場合、神様はその魂胆を簡単に見抜きます。そのお守りは、あっという間に、穢れに満ち溢れるのです。

 こうしたことを承知の上で、お守りを出品する人もいるかもしれません。「自分の穢れを誰かに与えてしまおう」というわけです。考えてもみてください。信仰心のある人が転売するわけがないのですから。落札した人は、騙されているのです。

 お守りだけではありません。チェックしてみると、御朱印も出品されているではないですか。これには、正直困惑しました。

 私自身、御朱印を書くときは本当に心を込めています。それゆえ、御朱印には御魂が宿っていると信じています。

 それほどまでに魂を込めた御朱印を転売するとは!

 御朱印の主である神様は、自分自身が転売されていることを、どのように思うでしょうか。どう考えても、転売した人にも、それを落札した人にも、いいことが起きるとは思えません。

 今日もメルカリには、お守りや御朱印が出品され続けています。

 そして今日も、穢れに満ち溢れたものを落札する人が増え続けているのです。

御神酒の飲み残しは地面に撒きます

 さまざまな現場で地鎮祭を執り行ってきて、一番強烈だった出来事があります。「紙コップ継ぎ足し事件」です。

 家を建てるにあたり、地鎮祭を行った経験のある人もいるでしょう。そのとき、お酒を振る舞われませんでしたか? 

 これを神酒拝戴といいます。神様と同じお酒(御神酒)をいただくことで、神様のお力を体の中に取り込み、健康と開運を願う儀式です。

 お酒が飲めない人や、車の運転をする人などは、飲む必要はありません。飲んだふりをすればいいのです。それでも、神様のお力を得ることができます。神様は優しいのです。

©iStock.com

 神酒拝戴には、もう1つ大きな目的があります。

 お米を育ててくれた大地への感謝の気持ちです。

「え? 飲むだけで?」――。いえいえ、違います。お酒を飲んだあと、その残りを感謝の気持ちをもって、地面に撒くのです。その際は、高い位置からではなく、かがんで低い位置から撒くのがきれいな所作です。

 こうした所作については、事前に丁寧に伝えているのですが、「馬耳東風」と言いますか、地鎮祭での玉串奉奠(※2)がうまくいくかが気になってか、全然耳に入っていない人も、けっこういます。気持ちが高ぶっているのでしょう。「うまい!」などといって、飲み干してしまう人は、10人に1人はいます。