ここで政治家の問題発言を考えるのに絶好の人物を紹介します。お待たせしました、森喜朗先生です。
これまでの森喜朗先生の多くの発言は本当に参考になるのです。たとえばこちらの発言。
「大阪は痰ツボ。金儲けだけを考えて、公共心のない汚い町」
「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国」
前者は自民党京都府連のパーティー。つまり京都で大阪をディスる。後者は神道政治連盟国会議員懇談会での発言だ。いかにもその場にいる人が喜びそうなことを言ってみせる。
東京五輪・パラリンピック組織委会長という立場では、演技の一部を失敗した浅田真央選手を「見事にひっくり返った。あの子、大事なときには必ず転ぶ」と言ったこともあった。酷い。
自分ではウケると思っているのかもしれない。となるとこんな言葉で笑っている側も問題ということがわかる。これらをひっくるめて私は「ガハハおじさん」と呼んでいる。
「ガハハおじさん」の罪とは?
ずさんで酷いことを言ったり聞きながら「ガハハ」と済ませてしまうおじさんのことだ。本人はぶっちゃけトークだと思い、周囲も「もう、先生ったらそんなことまで言ってガハハ」と対応する。半径10メートル以内では「本音」を言いあえるという結束が生まれる。一見すると情が濃くて楽しそうな空間に思える。「そんな堅苦しいことはいいからこっち来て飲もうや」とガハハおじさんに言われたらすべてが楽になりそう。
しかしそこで放たれる「本音」には差別や蔑視が含まれている場合もある。そうなると失言なのではなく、ギョッとする価値観を標準装備している空間ということになる。