11月8日、満月が幻想的な赤銅色に染まった皆既月食の夜。平野紫耀(25)は、主演ドラマ『クロサギ』(TBS系)の撮影で、東京・浅草の地にいた。カットがかかると、周囲が皆そうしたように、平野も夜空の月にスマホを向ける。ドラマは既に第3回を放送。撮影スケジュールも順調に消化していた。
平野は今、こんな想いを胸に秘め、芝居に打ち込んでいるという。
「おそらくこれがジャニーズタレントとして最後のドラマ作品になる。悔いなくやり切ろう」
平野は「アメリカでの活動」というジャニー氏の夢を託せる人材だった
ジャニーズ事務所屈指の人気を誇るアイドルユニット「King & Prince」(以下、キンプリ)。同グループから平野、岸優太(27)、神宮寺勇太(25)が来年5月に脱退、順次事務所を退所すると発表されたのは、11月4日のことだ。ファンクラブ向けの動画で、平野は「目標を失い、今回の決断に至りました」と理由を語った。
平野は苦悩の真っただ中にいた。
背景には2019年7月、創始者・ジャニー喜多川前社長が鬼籍に入ったことがある。キンプリはジャニー氏が最晩年に手掛け、彼との結びつきの強いグループだった。中でも平野は、同氏が「ソロでデビューさせてもいい」と惚れ込んだ逸材だ。
「ジャニーさんの原点は、高校時代にロスのシアターで観たショー。最後までアメリカで錦を飾りたいという情熱は尽きなかった。その夢を託せる人材として出会ったのが10代の平野でした」(作家の小菅宏氏)
2015年、3人組ユニットが合わさって誕生したのがキンプリだった。ジャニー氏は「2020年にはキンプリをアメリカで本格活動させたい」と考えていたが、その前年、亡くなった。
「ジャニーさんによく懐いていた平野は、相当落ち込んでいた。本来、キンプリはメンバー同士の絆が固いグループでしたが、メンバー間で目指す方向性に徐々にズレが見え始めたのです」(事務所関係者)