1年以上経ち、娘から愕然とする発言が
それから1年以上経ち、子どもが小学生になった頃、恵子さんに愕然とする出来事が起きた。2021年11月、親子でお風呂に入ったときのことだ。娘のプライベートゾーンがかぶれていたので丁寧に洗っていると、娘がふと「なんか……シッターさん思い出す」とつぶやいたのだという。
あわててキッズラインの予約履歴から、かつて依頼したことのあるシッターたちの写真を見せると、子どもは「この人」とX被告を指さしたという。
「こんなふうにされて、すごい嫌だったんだよね……今思い出した」
わが子の告白に恵子さんは動転し、再び警察とキッズラインに相談した。しかし、本件が事件として扱われることはなかった。
警察に「証拠をしっかり掴んでいない限り、容疑者に事情は聞けない」「事件として扱うのであれば、お子さんからも事情聴取しなくてはならない。お子さんに負担をかけてしまうと思う」などと言われたからだ。
子どもの心の平穏を優先させた
1年以上前のことで、しかも証拠はない。小学生になった娘への詳細な聞き取りは、心の傷を深めないだろうか。女性は加害者への怒りをこらえながら、わが子の心の平穏を優先させた。この後、キッズラインからも担当者が自宅に訪れ、謝罪があり、カウンセリングなどが必要であれば利用できるとの説明を受けたという。
その後、さらに月日が経って、2022年。
最近になって、恵子さんの娘は再び話すことがあった。
「あの人やだったな。お尻さわってくる人。だってね、おしり出して!って言ってきてね。すごくやだったけど、出したんだけど。こうやって、この辺こういう手つきでさわってきた」
キッズラインには改めて、子どもからこのような発言があったことについて「あまりにもリアルでショッキングでして。うちの子も完全に被害者だったのだと確信しました」と連絡をした。しかし、キッズラインからは「内容確認いたしました」「サポートが必要な際にはご遠慮なく申し付けください」といったメッセージが届いただけだった。
キッズラインも筆者の取材に対し、「被害に遭ったことをお子様が思い出したかもしれないという連絡を受けたケースがあった」と認めている。