2020年に報じられたキッズラインのシッター2人による性犯罪。2020年に続き今年8月末、被告への判決がでた。しかし、被害は表に出ているものだけがすべてなのだろうか――。
立件されなかった被害報告
2020年春、キッズラインを通じて預かった子どもにわいせつ行為をはたらいたとして、2人のシッターが逮捕され、親たちに衝撃が走った。今年8月30日、1人目の逮捕者である橋本晃典被告にシッター先以外での犯行も含めた男児20人への性暴力に対し、懲役20年の判決が下った。
橋本被告については控訴したことが報じられているが、2020年10月の、同じく性加害を行ったキッズラインのシッター荒井健被告への懲役3年(保護観察付き執行猶予5年)の判決と合わせ、「キッズラインシッターわいせつ事件」に一旦結論が出たかたちだ。
しかし、これらの判決の報道を複雑な心境で受け止めたある女性がいる。この女性、小野沢恵子さん(仮名)は、2020年に報道でキッズラインのシッターによる性犯罪を知るまで、未就学児の子どもを預けるのにキッズラインを利用していた。そして、キッズラインでのシッター中のわいせつ行為で逮捕されたX被告にも依頼したことがあった。
2020年4月、橋本被告が逮捕された後、2020年4月、橋本被告が逮捕された後、筆者はBusiness Insider Japanでキッズラインを通じてわいせつ行為をはたらいていた人物がもう1人いたことを報じた。その後キッズラインは、被告らが子どもを預かっていた家庭に連絡をいれはじめた。
恵子さんはその連絡や報道で、自分の娘を預けたことのあるシッターX被告が加害者として退会処分となったことや、逮捕されたことなどを知ることとなった。当時、自分の娘も被害に遭った可能性があると感じ、それとなく尋ねてみたが、わが子から違和感のある反応はなかった。
警察にも念のため連絡を取ったものの、「容疑者から名前が上がったら連絡します」と言われたきり、当該シッターによる恵子さんの家庭での余罪が問われることはなかった。