快楽とエコのはざまで…
――小さい子も、ふとしたアクシデントから床や角に性器をこすりつけることがあるといいますよね。
田滝 女の子の中には、温泉のジェットバスや流れるプールの吐水口にたまたま局部が当たって目覚める人が少なくないみたいです。
ただ、シャワーみたいな「水勢」を使うのは、すごい自然の無駄遣いですよね。股間に当てるためだけにこんな水を使っていいのか、環境を思いやりたい気持ちと気持ちよくなりたい狭間で感じた罪悪感も漫画の中で描いてます(笑)。
――「シャワーでG」の回ですね。その中では、「エコ」と「エロ」の両立法も示されていました。ギャグ漫画でありつつ、石見さんの姿からはファンタジーではない、女性のセルフプレジャーのリアルが描かれていると思いました。
田滝 石見さんみたいに「Gが趣味」とまではいかなくても、顔を洗うように毎日のルーティンとして自慰が組み込まれている人って全然いると思うんです。特別なものじゃなくて、普通の日常生活で行われるものとしての女性の性欲が描けたらな、というのはありましたね。
あえて「オカズ」を描かない理由
――自慰につきものの「オカズ」が描かれていない点も共感しやすかったです。
田滝 性的欲求の対象を描いてしまうと途端にギャグ要素が薄くなってしまうのと、やっぱり感情移入できる人が限定されちゃうなと思ったんです。たとえば石見さんが特定のものをオカズにしていたら、それになじまない人は全然のれなくなってしまう。その辺は編集さんともけっこう話して、出さない方針にした気がします。
――そんな中で、群を抜いて生々しい描写だと思ったのは、鏡で自分のアソコを見ながらのGで、「ティッシュついてた」と石見さんに言わせたシーンです。
田滝 アソコにティッシュがついてるのも普通だし、女にも賢者タイムがあるとか、システマチックに自慰する日もあるとかって、そもそも周りとなかなか話さないことですよね。
――石見さんによって「皆もそうだったんだ!」という発見や安心がもたらされたような気がします。友だちとこんな話ができたら楽しそう、とも思いました。