田滝 数年前、「#下ネタ女子会」ってハッシュタグで、女の子同士で自分の性欲を語り合う、みたいな交流会をしたんです。めちゃくちゃ楽しかったですね。
「女性器っていい見た目だなあって…」
――女性の性欲に対する決めつけやファンタジーばかりだった中で、田滝先生の作品は自慰もカラッと明るくポジティブで。石見さんが自分の局部を鏡で見たときに一言、「うつくしい」と口にして、ローストビーフ丼に例える描写も印象的でした。
田滝 本当、おいしそうな肉みたいじゃないですか。私、馬刺しとかローストビーフとかそういう生っぽい薄い肉が好きなんで、女性器っていい見た目だなあって思うんですよ。
――『石見さんのGライフ』は自分の身体や性を肯定できる気がして、ギャグ漫画の領域を超えて訴えかけるものがあるといいますか。
田滝 どうなんですかね、そこはやっぱりフェミニズムが好きだから、なんかにじみ出るものがあるのかもしれないですね。
炎上対策で勉強し始めたフェミニズム
――フェミニズムに興味を持ったきっかけは?
田滝 下品な漫画を描きはじめた頃、Twitterで炎上してる人をいっぱい見ていて。何も知らずに下ネタを扱うと自分も差別的なことを描いてしまいそうで、炎上対策で勉強しはじめたんです。でも、思ったより自分に関係ある話だったし、めちゃくちゃ面白くて普通にハマってしまった感じです。
――ギャグ漫画ゆえにアップデートはしっかりしないと、というお気持ちがあったんですね。
田滝 下ネタも古くなっていくと、「あれは差別だったのでは?」みたいなのが出てくるから、絶対勉強しながら描かないとヤバいと思ってて。本当にいちいち、「これ差別だったらどうしよう」とか、「女性だから許されるけど男性だったらダメじゃない?」とか、めちゃくちゃ気を遣って描いてますね。だからすごく疲れるんですよ、下ネタ考えるの(笑)。
ただ、石見さんに限っていえばオカズも描いていないし、他人と比べることも誰かを貶めることもなく、本当に自分だけで性を楽しむ内容なので、時代に合ってるのかもしれないですね。