5人のうち4人はツイッターの内容を理解していない可能性が
PIAACの問題はレベル1から5まであり、レベル3は「小学校5年生程度」の難易度とされている。
「読解力」のレベル3の問題例では、図書館のホームページの検索結果を見て、「『エコ神話』の著者は誰ですか」という問いに答える。あまりに簡単だと思うだろうが、正解するためには、問題文を正しく読めるだけでなく、「検索結果をスクロールし、そこに該当するものがなければ『次へ』の表示をクリックする」というルールに気づかなくてはならない。
この問題に正答できない成人は日本では27・7%で、3~4人に1人になる。
レベル4の問題では、150字程度の本の概要を読んで、質問に当てはまる本を選ぶが、日本では8割近い(76・3%)成人がこのレベルの読解力をもっていない。ツイッターの文字数の上限は140字なので、5人のうち4人は書いてあることを正しく理解していない可能性がある。
「数的思考力」のレベル3は立体図形の展開で、日本の正答率は62・5%だ。レベル4は単純なグラフの読み取りで、ビジネスでは必須の能力だが、このレベルに達しているのは日本人の約2割(18・8%)しかいない。
「ITスキル」のレベル3では、メールを読んで会議室の予約を処理する。事務系の仕事では最低限必要な能力だと思うが、日本人でこれをクリアしたのはわずか8・3%だけだ。
惨憺たる結果でも日本人の成績は先進国で1位
この結果をまとめると、次のようになる。
(1)日本人のおよそ3分の1は「日本語」が読めない。
(2)日本人の3分の1以上が小学校3~4年生以下の数的思考力しかない。
(3)パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない。
だが驚くのはこれだけではない。この惨憺たる結果にもかかわらず、日本人の成績は先進国で1位だったのだ。
OECDの平均をもとに、先進国の労働者の仕事のスキルを要約すると次のようになる。
(1)先進国の成人の約半分は簡単な文章が読めない。
(2)先進国の成人の半分以上が小学校3~4年生以下の数的思考力しかない。
(3)先進国の成人のうち、パソコンを使った基本的な仕事ができるのは20人に1人しかいない。
だがこれは、一般に知られていないだけで、専門家には周知の事実だったはずだ。