日本でもミュージカルは一般にかなり浸透した感がある。現在のミュージカルブームの一翼を担うのが、StarSというユニットとしても活動する井上芳雄、浦井健治、そして山崎育三郎の3人の俳優だ。きょう1月18日は、このうち山崎育三郎の32歳の誕生日である。

©文藝春秋

 1986年東京生まれ。宝塚やミュージカルが好きだった母や祖母の影響で、山崎も幼少期よりよく家族で観劇に行っていたという。小学3年のときからは歌の個人レッスンに通うようになるが、それもミュージカル『アニー』を観たあと、いつもは物静かだった彼が挿入歌をうたうのを母が見て、「この子に歌をやらせたら人前に出られるようになれるかもしれない」と考えたからだという。小学6年のときには、ジュニアミュージカルのオーディションに合格、子役として舞台デビューする。このあと中学3年で声変わりしたのが、最初の転機となる。このとき、子役の活動を続けられなくなって落ち込む山崎に、歌の先生が、「将来ミュージカルをやりたいのなら、クラシックの基礎をやっておくと絶対にプラスになる」と勧めてくれたという。ここから彼はクラシックの声楽を習い始めるとともに、必死に受験勉強をして音楽大学付属の高校に進学した。高校時代は「まだまだ……」と自分の気持ちを抑えつつ、ひそかに、次に舞台に立つときは『レ・ミゼラブル』のマリウス役だと目標を定めていたという。その目標は、東京音楽大学1年在籍時に『レ・ミゼラブル』のオーディションを受け、見事に射止めることになる。

 山崎はマリウスだけでなく、『ミス・サイゴン』のクリス、『エリザベート』のルキーニ、『モーツァルト!』のモーツァルトと、東宝ミュージカルの4大作品の主要キャストをやるという夢を子供のころから抱き続けてきたが、それも29歳までにすべてかなえた。もちろん、いずれも大役ゆえの重圧を乗り越えながらの実現であった。

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昨年公開された『美女と野獣』の日本語吹き替え版では、野獣役を演じた ©文藝春秋

 30歳になると、これからの10年は、「ミュージカルだけと決めつけずに、映像の作品にも挑戦していきたい」と語った(『婦人公論』2016年5月24日号)。その言葉どおり、『下町ロケット』(TBS、2015年)を手始めに、連続ドラマにもあいついで出演、昨年には『あいの結婚相談所』(テレビ朝日)でドラマ初主演を務めている。その劇中では毎回、舞台ばりに高らかに歌い上げるシーンが用意され、インパクト大であった。今年に入ってからも、『世界の村のどエライさん』(フジテレビ)でお笑いコンビの千鳥とともにバラエティ初MCを務め、また歌手として全国ツアーを行なうなど新たな挑戦が続く。私生活では、舞台共演をきっかけに交際を始めた安倍なつみ(元モーニング娘。)と2015年に結婚、翌年、男児を儲けている。