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臨時理事会でクビが決定

 それから2カ月ほど経った頃、5月場所の最中に琴光喜から電話がかかってきた。

「親方。終わりましたわ」

 私は状況をまったく理解できなかった。「え? 何が終わったの?」と尋ねた。

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 すると、琴光喜は「今、週刊新潮から電話かかってきて、野球賭博の話が明るみに出ましたわ。もう、終わりました」と。

 その知らせを受けて、私も「ああ、人生終わった」と感じた。

 この大相撲野球賭博事件について、相撲協会は「賭博関与を申告すれば厳重注意で済ませる」とした。琴光喜は関与していたことを告白し、翌7月場所の自主謹慎を申し出た。しかし、6月27日に特別調査委員会から「除名もしくは解雇処分」の勧告案が出され、7月4日の臨時理事会で処分が決定、琴光喜と私は共にクビとなった。

元大関琴光喜の焼肉店を出る愛知県警の捜査員らを乗せた車 ©時事通信社

野球賭博の処遇と理事長選の関係

 この一件について、私がどうしても納得できないことが一つある。琴光喜の処遇についてだ。琴光喜はクビになるが、琴光喜と同じ立場の人間は相撲界に他にもいたのである。

 しかし、彼らは謹慎処分に終わり琴光喜だけがクビ……。

 なぜ、野球賭博に関わった人物の中で私と琴光喜だけがクビになったのか。それは、協会理事選で貴乃花に票を入れた私、そしてその私と深く関わることになった琴光喜が協会からすれば邪魔だったからではないかと見ている。

 貴乃花派が力を持つと協会内部のパワーバランスが崩れてしまう。そのような未来を見越して、私たちは排除されたのだろう。裏には理事長選からの確執が絡んでいたというわけだ。