八百長、賭博、かわいがり、裏社会とのつながり……。元関脇・貴闘力が角界のタブーに切り込んだ書籍『大相撲土俵裏―八百長、野球賭博、裏社会…相撲界の闇をぶっちゃける』(彩図社)が発売より好評を博している。

 15歳で元大関・貴ノ花の藤島部屋に入門し関脇まで上り詰めるも、2002年9月場所で現役を引退。自身も現役時代に賭博に手を染めた経験がある貴闘力が10年の沈黙を破って明かした相撲界の悪しき風習。その告発の一部を抜粋し、転載する(転載にあたり一部編集しています。年齢・肩書等は取材当時のまま)。

(全6回の5回目)

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千代大海の裏カジノ疑惑

 朝青龍の元マネージャーに吉田さんという方がいる。吉田さんは千代大海が三役に上がる前から繋がりがあり大関になるまで約10年間運転手を務めたこともある。千代大海と風俗店の前でFRIDAYに写真を撮られたこともあるのも彼だ。

 その吉田さんから、千代大海とカジノについての話を聞いたことがある。

 ある年の名古屋場所でのこと、某週刊誌に「千代大海は博打好きが高じて裏カジノに出入りしていたんじゃないか?」という記事が出たことがあった。また、その記事をリークしたのは吉田さんじゃないかという噂も出た。

1995年、両国国技館での千代大海 ©時事通信社

 実際のところその出版社とは何の縁もなかったということだが、内容はほぼリアルだったという。例えば、場所中にカジノに行って博打をしていたことなどはそうだと。

幕内力士や相撲関係者も裏カジノに行っていた

 吉田さんも当時、「ここまで送って」と言われ車で送ることは多々あったそうだ。千代大海を降ろして周りを見渡すと、「この店はなんだ?」とクエスチョンマークがつくような店舗があったという。

 そこの店舗に入ったかどうかまでは定かではないが、疑われても仕方ない行動を取っていたことは確かである。もし、この事実が明るみに出ていたら、千代大海は追及を受けてクビは避けられなかっただろう。

 決定的だったのが、ある日突然、吉田さんではない別の人物と出かけるようになったことである。それが裏カジノを経営していた人物だったのだ。「疑わしい店には行かないように」と注意する吉田さんがわずらわしくなったのか、千代大海はその人物と出かけるようになった。

 直接その場面を見てはいないが、恐らく千代大海がその人と出かけるときの行き先は裏カジノだったのだろう。