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《国際ロマンス詐欺か?》共同通信社子会社の経理部“女性”次長(55)はなぜ1億3000万円の横領に手を染めたのか「8000万円弁済済み、5000万円の弁済にも目途」

genre : ニュース, 社会

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「第一報が出た後、“これは国際ロマンス詐欺じゃないか!?”と社内は色めき立ちました」

 一般社団法人共同通信社(以下、共同)の子会社である株式会社共同通信社(以下、KK共同)の経理部次長(55)が、関連会社の銀行口座から自身の口座に計約1億3000万円を送金したとして懲戒解雇処分された横領事件。共同の記者たちは子会社の不祥事を知るや“独自取材”に走った――。

株式会社共同通信社の外観(KK共同のHPより)

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横領した経理部次長は離婚歴のある独身女性

「横領したのは離婚歴のある独身女性でした。彼女は約4年前に知人の紹介で知り合った自称投資コンサルタントの外国人から、今年3月以降、報酬の一時的な受取人になるようSNSを通じて求められ、手数料の立て替えなどの名目で、横領したカネを実態不明の海外口座に全額送金していました。また、投資コンサルから『自分は海外にいて送金できないから、代行してほしい』という要求もあったようです。KK共同の聞き取りに対して彼女の証言にはあいまいな点もあるようですが、投資コンサルに入れあげていたと見られます。そのため、記者たちの間では“国際ロマンス詐欺”に遭ったと言われています」(共同関係者)

 国際ロマンス詐欺とは、出会い系サイトやSNSなどを通じて、異性に恋愛感情を抱かせ、その後、様々な形で金銭的要求をしてくる「詐欺」のこと。近年急増しており、国民生活センターなど各所で注意喚起がなされている。手口はケースバイケースであるものの、日本貿易振興機構(ジェトロ)のHPに記載された「最近の具体的な手口」には「自身の資産や高額の贈り物、家財を日本に送付するための費用や手数料の支払い要求」といった例が出ている。

写真はイメージ ©iStock

 また、共同とは、加盟社や契約社に記事を配信する通信社である。大都市圏の読者は普段、共同の記事を意識する機会は少ないが、地方紙などでは、全国に取材網を張った共同の配信記事が掲載されることも多い。共同のHPによれば、共同のニュースが掲載されている新聞は合計約2100万部(2020年1月時点)で、読売新聞や朝日新聞などに圧倒的な差をつけて国内最大規模の発行部数を誇る。

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