ドイツで味わった「アジア人は下に」見られている“感覚”
――初めての移籍、ヨーロッパという環境で思い知ったことはどんなことでしたか?
岡崎 これはシュトゥットガルトに限った話ではないのですが、やっぱり「理不尽だな」と思うことはありますね。ヨーロッパでプレーしている選手たちからすれば、当時は日本人、アジア人というだけで、下に見られているというか、欧州や南米出身の選手とは違う眼で見られることは多いんです。試されているというか、認められるまでに遠回りをせざるを得ないというか。僕がフォワードだからとか、考えすぎているのかもしれないけれど。圧倒的な結果をもたらさないと居場所が確立しないような気持ちにはなりましたね。
――欧米の選手は自己主張が強いという印象もあります。
岡崎 日本人だから自然と「チームのために」というプレーをするんだけれど、そういう選手って当時は少なかったんですよ。強豪相手の試合で自陣からボールを繋ごうとする場面でも、みんな怖がってボールを受けにいかない。仕方なく僕が受けに行き、相手のプレッシャーが速くてボールを失ってしまうと、まあ、非難はされます。でも、僕としてはチームのためにやるべきことをやっただけと考えられるようにはなりました。
――守備で手を抜くストライカーも少なくなかった。
岡崎 そうなんです。でも、キッチリとゴールを決める。美味しいところだけ持っていきやがって! と思いますよね。でも、結局ゴールを決めたヤツが一番。そういう世界だから。気がつくと、僕は中盤で起用される試合が増え、ストライカーとして勝負できるクラブに移籍したいと考えるようになりましたね。
――そして、2013年夏にマインツへ移籍すると、センターフォワードとして活躍し、15得点をマークし、2014年ワールドカップブラジル大会へ挑みます。
岡崎 非常に自信を持って挑んだ大会でした。チームとしてもやってやるんだという想いに溢れていましたね。
今になってもいろいろと後悔が多い。オプションがもっとあってもよかった
――南アフリカ大会の堅守速攻というサッカーではなく、ボールを保持した自分たちのサッカーを追求するとチームも進化してきた印象があります。しかし、結局グループステージで1勝もできずにワールドカップが終わりました。
岡崎 ワールドカップではサイドでのプレーだったんですが、マインツでずっと1トップでやっていたこともあり、不完全燃焼というのは正直ありました。同時にコートジボワール戦で先制したあと、チームとしてどう戦っていくのかという面で、攻撃陣と守備陣との間で意思統一ができなかったことや、チームの一角を抑えられたときなど、ゲーム状況、相手に応じたオプションがもっとあってもよかったなと、今になってもいろいろと思うことが多い大会でした。
――続く、ロシア大会への想いも強くなったのでは?
岡崎 不完全燃焼だったからこそ、今度こそ自分の力を証明したいと考えていました。(#2に続く)
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